第7話 初めてのガチャ

「ふはぁ……疲れが飛んでいくな」


 初めて五右衛門風呂に入ったが、何とも気持ちいいものだ。


 湯を炊く必要もなければ、洗わなくてもいい。

 鉄釜だけだったら、わざわざ井戸水を運んで、火おこしやらで四苦八苦してたところだ。


 風呂から上がって着替えを済ませると、またも任務を達成した。


《任務:〈No7〉を達成しました》

 任務:〈No7〉お風呂に浸かろう。

 達成条件:お風呂を召喚してお風呂に浸かる。

 達成報酬:10開拓ポイント。


《任務〈No2〉を達成しました》

 任務:〈No2〉装備をしよう。

 達成条件:装備を召喚して装備する。

 達成報酬:10開拓ポイント。



「さて、お待ちかねのディナータイムだ」


 〈料理ガチャ〉を召喚すると、白い自販機が出てきた。


 中央にボタンが左右に一つずつ。 

 硬貨や札を入れる挿入口はなく、大きな受け取り口だけがある。


 そして一番目立つのがパネルだ。


【冷たい料理は冷たいまま、温かい料理は熱々ホカホカがモットー! いざ、レッツチャレンジ!】


 左のボタンには、料理ガチャ× 1 (10KP)

 右のボタンには、料理ガチャ×10(100KP)


 ここまで見れば、考えるまでもない。

 完全にゲームのガチャと同じだ。


 ここは俺一人だけだし、10人前の料理が出てきても困る。

 左のボタン一択だ。

 ボタンを押すと、パネルにライトが点灯して文字が浮かびあがる。


 鉄:消費期限切れのゲテモノなど。

 銅:おにぎり、カップ麺、駄菓子など。

 銀:食堂の人気メニュー、居酒屋名物など。

 金:特選ステーキセット、特上寿司盛り合わせなど。

 虹:超豪華フルコース、究極懐石、満漢全席など。



 色々とシュールだが、気にしたら負けだ。

 「チーンッ」と鳴ると、数秒でトレイが出てきた。


「これって当たりじゃないのか」


 俺は金の蓋を見て、当たりだと確信した。

 家の床に直置きした後、大きな金蓋をゆっくり開けると、黄金の光りが俺を包み込んだ。


「いくら何でも眩しすぎるぞ……」

《申し訳ございません。次回から光魔法の調整を行います》


 今の魔法だったんだな……。


 ボヤけた視界が元に戻ると、そこには焼き立てのステーキがあった。


 強烈な肉の香りと共に、ジュルリッとヨダレが溢れてくる。

 ステーキの他にパンとサラダ、スープ、赤ワインまでセットになっていて、おまけにシルバーも置かれている。


「……う、ううううううううめえええええええええええええぇッッ!!」

 

 謎肉のステーキは、噛んだ瞬間に肉がとけて消えた。

 口に残るのはジューシーな旨みだけで、くどくない。


 これまで食べたステーキの中で、最高の逸品だった。

 何の肉かは分からないが、ラノベではこういったものは大体ドラゴンだが。


《マスター、その肉はブラックジパン牛という幻の魔物です》

「ブラックジパン牛?」


 ま、美味ければそれでよし。

 これで腹もいっぱいだ。



《任務:〈No5〉を達成しました》

 任務:〈No5〉料理ガチャのご飯を食べよう。

 達成条件:料理ガチャを召喚する。

 達成報酬:10開拓ポイント。


《任務:〈No24〉を達成しました》

 任務:〈No24〉料理ガチャで激レアを当てよう。

 達成条件:料理ガチャで金色の蓋を当てる。

 達成報酬:10開拓ポイント。


 

 辺りも暗くなってきたから歯磨いて寝るか(元々薄暗いけど)


 <マスターの必須品>

 歯ブラシセット 5

 村人の敷き布団 10

 高級敷き布団  50

 村人の掛け布団 10

 高級掛け布団  50

 村人の枕    10

 高級枕     50

 シングルベッド 50


     <残270KP>

ーーーーーーーーーーー



 俺はベッド派だが、ベッドだけで部屋が埋まるのは嫌だし、ポイントも高いから今回は見送る。


 となると、布団まで村人シリーズか。

 ま、この際だから村人に染まってやろう。


 歯ブラシセット:歯ブラシ・歯磨き粉・コップの3点セット

 効果:清潔・虫歯予防

 必要KP:5


 村人の掛け布団:この村で流行した普通の掛け布団。

 効果:安眠(小UP)

 必要KP:10


 村人の敷き布団:この村で流行した普通の敷き布団。

 効果:安眠(小UP)

 必要KP:10


 村人の枕:この村で流行した普通の枕。

 効果:安眠(小UP)

 必要KP:10


《任務:〈No8〉を達成しました》

 任務:〈No8〉歯を磨こう。

 達成条件:歯ブラシで歯を磨く。

 達成報酬:10開拓ポイント。



 俺は横になると、すぐさま意識を手放した。

 慣れない異世界生活に疲れたためだろう。


 ◇


『見つ……け…た……け…て』


 夜遅くに何か聞こえたような気がするが、多分気のせいだ。

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