第11話 三つの星 2


やがて三人は席を立ち、ディース神殿へ向かうといい、マスターに別れを告げて店をあとにした。


「いいパーティが誕生しましたね」


 店の中、マスターが微笑みながら、中年の男性に向かってつぶやいた。

「うーん、マスター。俺の勘がうずいてるよ。あいつら絶対優勝する」

 彼がそういうとマスターは、親父さんの勘は当たったためしがないじゃないですかと笑いながら言った。

 最後のコップを磨き終えると、マスターは静かに言った。


「……僕もチケット買おうかなあ」

 



☆   ☆   ☆




 3人がディース神殿から出てきた頃には、既に陽は西に沈みかけていた。はるか遠くに見える山々が、その稜線をひときわ美しく輝かせている。

 ディースは、今や黄金の街と化した。


「くはー! やっと家に帰れるぜ」


 大きく背伸びをして、夕陽に染まった顔をしわくちゃにしながら声を上げたのは、コートだ。その後ろでは、マリーが受付官からもらった選手用パンフレットを睨んでいた。一番後ろを歩くのは、デュオだ。マリーに話しかける。


「どうしたの? そんなに怖い顔して」

「うーん、チーム戦っつってもさあ、三人がいっぺんに戦うってわけじゃないのよ。順番決めて戦うの。だから、今のうちにどの順番で戦うか、決めちゃわない?」

「あ、そりゃそーだな」

「どーしよっか」

「俺はどこでもいいぜ」

「あたしも」


 デュオが尋ねた。


「ねえ、それって前の二人が勝っちゃったらどうなるの?」

「ええっとねえ…あ、その時点で試合は終了だって。時間の節約だとさ」

 デュオは、もらったと思った。

「じゃあ僕は一番最後がいいな…あんまり戦いたくないし…」

 デュオはちょっとだけ罪悪感を覚えたが、マリーは意外にも素直に承諾してくれた。

「いいわよ? じゃあデュオが大将、ね!」


 コートが言う。

「んじゃあ俺一番最初」

 オッケーとマリーは言った。

「じゃあこの順番ね。先鋒、コート。中堅、あたし。大将、デュオ。決定!」

「よし! んで?」

「は?」

「いや、このまま予選ってわけにはいかないだろ。事前ミーティングとか、力を試すためにその辺の洞窟に行ったりするとか」

「ああ、そうね。どうしよっか……」


 デュオは、「力を試す」あたりでビクッと肩を震わせたが、二人は気づかない。

「ま、それは明日決めましょう」

 マリーがそう言ったので、コートもデュオも頷いた。

 とりあえず今日はおひらき、ということで話の決着がついた。

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