最終話 紅玉は蜜で惑わす果実かな
丸浜さんに出逢ってから私の恋愛ドラマの価値観が変わった。
あんなに羨望の眼差しで他人事のように観ていたドラマのラストに丸浜さんとの実りの恋を当てはめるようになっていた。
今なら思う。
恋愛ドラマのラストがハッピーエンドの理由。
それは、「行方の分からないリアルの恋の指南書」だと。
「こうなりたい」と夢見る恋する者たちに理想の花を心に咲かせてくれるから。
私はその花を枯れさせないために、少しでも長く花を散りばめた花風呂に入っていたかった。
今日、あのメッセージを読むまでは。
「ゲームという言葉はただの口実だった」
その一言から始まった丸浜さんの嘘のような告白を語った文章を読んで、赤リンゴをかじってしまった私の心の罪は重いものだと悟った。
丸浜さんにはもう会えないだろう。
そんな悲しい恋の終わりに、あの日もらった試作品のチョコレートを食べた。
ラム酒の香りがする切ない涙が袖を濡らす。
丸浜さんに最後に会った日に彼から香った燻した匂いの正体が煙草と断定できないけど、それももう忘れよう。
「手放せぬものがいるんだ」君告げる
謎に包んだ燻した匂い
告白詐欺 りつな @knity627
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