第3話

カウンターアタック



カレドの空中宮殿では小さな戦争がはじまっていた。

中心にいる人物は青い服を着た小柄な少女だった。

手には小さな銃しか持っていない。

その少女を囲っているのは地球軍の警備兵50名以上だ。

この奇妙な構図を理解できていないのは当の警備兵たちだった。



『銃を捨てて投降せよ!』

兵の長であるメイオリ少佐は少女に向かって叫ぶ。しかし、現状は兵たちの失敗に終わっているのは明白だった。それは鮮血に染まるテーブルの下をみれば分かる。地球軍の総司令であるオーリオ提督と国王であるパメラ女王が動かぬ姿になっている。これでは少女を降伏させたとしても少佐の運命は決まっている。されど、このまま少女を取り逃がしたとあればさらなる悲劇が兵士たちに襲ってくるだろう。この行動にどんな意味があるのかとも心に感じるが、訓練校で身体に刻み込んだ所業が自分に憑依している。指揮棒を降り下ろし少女を葬り去る。それで私の役目は終わるだろう。少佐は瞼を閉じて行動に移す。



「ティーネ!障害を排除せよ!」

少女は高らかに宣言をする。刹那、影が動いた。振動とともに空気に波が破裂する。取り囲んだ兵士たちの足元が揺らぐ。影はゆっくりと形になってきた。2メートルほどの身長がある人間…いやロボットが少女と兵士の間に立ち壁となる。



「承知!姫様」

閃光が瞬いた瞬間、全兵士は崩れ落ちる。残るのは少女とロボットの二人だった。青い服の少女と青い甲冑のロボット…



少女の名前は<リア・サーキュレイ>

ロボットは<ティーネ・バイアライト>



二人が起こした戦争は3年間続いた。

それを皆こう呼んだ。



『カウンター・エイドリアス』と



つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る