今日は到底同じベッドで寝られない

今日は到底同じベッドで寝られない


その日以来、あかりの父親からはもう連絡が来ていない。 結婚式の準備をすることはなかったが、レンとアカリはとても忙しかった。


レンはウェディング撮影をしたスタジオに連絡し、結婚式の日の撮影も頼んだ。 スタジオ側からはカメラマンと女性マネージャー1人が来ることにした。 司式もなく2人だけの結婚式だが、それでもカメラマンとマネージャーが参加するので、その2人が結婚式の証人になれるという気がしてよかったと思った。


結婚式の2日前の木曜日、あかりは胸がときめくのを感じた。 もう二日後にはレンの花嫁になるのだ。 ウェディング撮影の時に続き、再びウェディングドレスを着ることができるという事実がアカリをときめかせた。


その日、レンは用事があって外出して遅く帰ると言った。 あかりは一人でソファーに座ってスタジオ側から送ってもらったウェディング撮影アルバムを見ていた。 写真の中のアカリ自身とレンは本当に幸せそうに見え、世の中で誰よりも一番よく似合うカップルだという気がした。


写真の中での姿は28歳と18歳の年齢差があったが、それでも十分に似合うカップルのようだった。


あかりはアルバムを何度も見ていて、ふと自分の部屋に入ってドレッサーの前に座った。 そして、アイメイクを濃くして唇も赤く塗った。 それからレンが来るのを待った。

レンは11時過ぎに帰ってきた。 あかりはれんが入ってくるとれんのところに駆けつけて抱きしめた。


「あかり。」


レンはあわてて言った。 あかりはれんを抱きしめながら言った。


「私たちの結婚式まであと2日しか残っていない。」


レンはあかりを抱いていてあかりの顔を見て尋ねた。


「ところで、どうして夜中にこんなに濃い化粧をしているの?」

「明後日、君の花嫁になるから化粧の練習をしていたの。 その日は花嫁の化粧を私が直接しなければならないから。」

「そうだったの? 私はちょっと入って洗うよ。」


レンがシャワーを浴びに浴室に入っている間、アカリは自分の部屋に入り、下着を着替えた。 新婚旅行でホテルで着るために事前に注文しておいたスリップだった。 鏡を見ると、自分の姿は胸がほぼ半分近く露出していて、短いスリップを着ると肩と背中も全て現れ、太ももが全て現れてとてもセクシーに見えた。


「この姿を見ても私を拒否することはできないだろう。」


あかりはスリップとパンツをはいてレンの部屋に行き,布団の中に入っていた。 そして、レンが入ってくるのを待った。 レンはシャワーを浴びて髪を乾かして部屋に入った。 そしてあかりに聞いた。


「もう寝ようと横になったんだ。」

「いや、君を待っていたんだ。 早く来て。」


レンは訳もわからずベッドの上に上がってきた。 あかりはれんを布団の中に入れて抱きしめた。 2人の唇が自然に触れ、アカリとレンはしばらくキスをした。 本当に綿菓子のように甘いキスだった。


あかりはキスをしている途中、二人が覆っている布団を足で押して床に落とした。 その過程でレンの手がアカリの胸に触れた。


「え?なんだ?」


レンはアカリの胸に自分の手が触れた後、アカリの姿を見てびっくりしながら言った。


「あかり!君…···その服は何?」

「どう?セクシーでしょ? 新婚旅行に行って着るために前もって買ったの。」

「ところで、どうしてそれを今?。」

「どうせ2日しか残ってないじゃない? 二日後には私はあなたの花嫁になるでしょう? 今夜あなたに私のすべてをあげながら愛を分かち合いたい。」


あかりちゃんの言葉にれんはベッドから飛び起きた。


「何で起きるの?。」

「水、水を飲むよ。」


レンはそう言って居間に出て、しばらくしてドアを開けてアカリに言った。


「2日だけ待てばいい。 だから今日は私があなたの部屋で寝るから、君はそこで一人で寝てね。」

「そんなのどこにあるの? 今までも毎晩同じベッドで寝てたじゃない?。」

「同じベッドで寝てもキスしかしなかった。 明日の夜まではそうしたい。 そして、今日はとても同じベッドで眠れない。 ごめんね。」


レンはそう言ってドアを閉めて出かけた。 あかりはすぐについて行ったが、れんはあかりの部屋に入ってドアを閉めて開けなかった。


あかりはトイレに行って、トイレの鏡で自分の姿を見ながら考えた。


「私がこんなに派手な服を着ているのに逃げるなんて…···レンが本当に私を望んでいないわけではないと思うけど?」


アカリはレンが同年代の男とは何か違うようで不思議に思った。 いくら考えても、そのように化粧を濃くして派手に着たアカリを見ても、そのまま放っておいて、むしろ逃げるというのが理解できなかった。


アカリは自分のドアをノックしながらレンに言った。


「レン!服をまた着替えるから、一緒に寝てくれない? 一人で寝るのが怖いんだよ。」

「今日は一人で寝る。 ごめんね。」


あかりは仕方なく化粧を落とした後、その日はお互いの部屋を変えたまま一人で寝なければならなかった。


結婚式前日の金曜日には部活動があったが、あかりはあらかじめ担当教師と担任教師に話をしてからは授業を抜けて早退した。


ウエディング撮影の時はスタジオ側で同じ建物にあるヘアショップで髪も整えさせ、花嫁の化粧も気を使ってしてくれた。 しかし、翌日の土曜日、結婚式の時は花嫁の化粧や髪の手入れを誰かがしてくれるわけではないので、結婚式前日の金曜日にヘアサロンに行って髪を整えるつもりだった。


あかりはヘアショップの椅子に座り、鏡に映った自分の姿を見ながら考えた。


(明日は私の18番目の誕生日。 そして私はレンの花嫁になる。 私は世界で一番幸せな花嫁になる。)


今は父親に脅かされることもなく、レンと結婚して幸せな毎日を生きていく上で邪魔する人もいなかった。


今まではある意味レンの家に居候する同居女に過ぎないが、明日からはレンの花嫁であり、本当の夫婦として一緒に暮らすことになるのだ。


そして、土曜日の夜には新婚旅行に行って本物のレンの花嫁になるだろう。 お互いのすべてをあげながら情熱的にお互いを愛するだろう。


前日の夜にレンに拒否されたようで一方では心を痛めたりもしたが、逆に考えればレンがそれだけ自分を大事にしてくれる気がした。


(そうだね。レン君は結婚式を終えて花嫁になった私を愛してあげたいからだろう。 私を大切にしているから、私との最初の夜を特別に思い出したくなるだろう。)


あかりは髪の手入れを終えた後、ヘアサロンを出て歩いていた。 ところが、突然後ろから誰かがアカリの名前を呼んだ。


「渡辺あかりさん。」


びっくりして後ろを振り向くと、ショートカットに背の低いかわいい女性が立っていた。


「私を呼んだんですか?」

「渡辺あかりさんですよね? あの、覚えていませんか?」

「え? どなたですか?」

「前にバス停に会ったんだけど、忙しいって言ってそのまま行ったじゃないですか? 今日は芹沢蓮さんについてぜひお話したいと思います。」

「はい。ところで、どなたですか?……」


アカリは女性がレンの名前を言うと、近くにあるカフェに正体不明の女性と一緒に入った。 いったいこの女は誰なのに私の名前とレンの名前まで知っているというのか? もしかしたら父親がお金を要求するために送ったのではないかという気もした。


あかりは未知の女性と向かい合って座って尋ねた。


「いったい誰なのに私を知っていますか?」

「驚かせてすみません。 私はリナと申します。」

「レン君の名前も知っていてびっくりしました。」

「それは私が芹沢蓮さんをタイムスリップさせましたからね。」

「え?」

「芹沢蓮さんが10年前の世の中に来るようになったのは私のためです。 もちろん、あかりさんに会いたいと思っている芹沢蓮さんの切実な思いのためでもあります。」

「それでは、あなたは?……。」

「私が誰なのか気になりますよね?。」


リナは正体が分からない女は意味の分からない笑みを浮かべながらアカリに尋ねた。


***


6月24日土曜日。 ついにあかりの18番目の誕生日になった。 そして、その日はレンとアカリの結婚式の日だった。


予定されていた結婚式の時間は午後1時だった。 スタジオ側の事情に合わせて決めた時間だった。 レンは立ち上がって化粧しているアカリを見ながら尋ねた。


「何も食べないの?」

「大丈夫。今は緊張して何も食べられない。」

「ウェディング撮影もしてみたけど、 そんなに緊張するの。」

「あの日はあの日のように緊張したし、今日は今日のように緊張する。」

あかりはそう答えて化粧をして、自分の部屋の前に立っているれんをちらりと見て、また言った。

「君の花嫁になる日だから。」


レンはあかりの返事を聞いて言った。


「じゃあ、こうしよう。 私も実は今何かを食べたいと思っていないから、結婚式が終わって渋谷で昼食を食べて箱根の方に新婚旅行に出発することにしよう。」

「いいよ、そうしよう。」


12時頃、すべての準備を終えてレンとアカリは車に乗って結婚式が予定されている教会に出発した。 12時45分頃、教会に着くとスタジオカメラマンとマネージャーはすでに到着していた。 マネージャーは挨拶を交わし、ウェディングドレスとタキシードを指差しながら言った。


「時間があまり残っていないので、すぐに着替えてください。 花嫁には私がウェディングドレスを着替えるのを手伝います。」

「はい。」


あかりはマネージャーと一緒に角の小さな部屋に入った。 もう結婚式の時間が近づいていた。

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