君と僕の間には何の秘密もなかったらいいな

29。君と僕の間には何の秘密もなかったらいいな


しかし、あかりは平気で言った。


「大したことは何? 結婚式のことばかり考えている。 早く食べよう。」


あかりはわざと平気なふりをしながら結婚式の話をした。


「あ、結婚式はどこでするの?」

「私が結婚式の場所の話をしなかったっけ?」

「うん。」

「調べてみたら、東京郊外に小さいけれどインテリアがきれいな教会を見つけた。 それで土曜日にちょっと借りることにした。」

「どんなところなのか気になる。」

「私が見せようと写真も撮っておいたのに、うっかりした。」


レンは携帯電話を取り出して撮った写真をアカリに見せた。 写真にはレンが撮っておいた教会の姿が写っていたが、白い壁になっていて内部がきれいに見え、教会全体の姿が出た写真には20~30人程度が座れる椅子が置かれていた。


あかりは写真を見て言った。


「本当にきれい。 私がここであなたの花嫁になるなんて、考えただけでも本当にうれしい。」

「今週の土曜日だから残りわずかだよ。 ところで···…。」

「うん?」

「本当に何かあったんじゃないよね?」


アカリはレンの話を聞いて前にレンが言ったことを思い出した。 何かあればあかりの顔に印がつくのですぐわかると言ったので、騙せないようだった。 だからといって事実を言うには勇気が出なかった。


「実はお金がちょっと必要なんだ。」

「お金?」

「うん。50万円必要なのに用意した道がなくて……。」


あかりがそう言いながら言葉じりを濁すと、れんがあかりを見ながら言った。


「あかり!君と僕の間には何の秘密もなかったらいいな。」


あかりはれんの話を聞くと、どう答えたらいいか何も思いつかなかった。


「私が50万円を用意するのは難しくないが、何のために必要なのか教えてほしい。」


あかりはうつむいて何も言えずにいた。


レンと私は数日後には結婚する仲だよ。 ところで、お互いに秘密があってはならないのが正しい。 ところで、ところで…···…どうやって話そうかな?’


あかりが迷っているとき、れんは言った。


「あかり。私には何でも話していいよ。」


あかりはれんの話を聞いてやっと勇気が出た。


「実は…···。」

「大丈夫だから言ってみろ。」

「チチが脅迫をしたの。」

「脅迫だなんて?」

「この前、君を通報すると言ったことあるじゃない?」

「うん。」

「500万円を出さなければ本当に申告すると言った。」

「何? 500万円?」

「うん。それで一応結婚式からやろうと6月末日までに送ると言っておいたが、今日突然訪ねてきて50万円を水曜日夜12時までに前金として送るように言って行ったの。」

「そうだったんだ。」


レンはしばらく何かを考えてからもう一度言った。


「心配しないで私に任せて。」

「どうやって…···やるの?」

「心配しなくてもいいよ。 一応お父さんに前金50万円を送ることはできないと今メッセージを送る。 他の話はしないで、ただ前金50万円を送ることはできないとだけ言って。」

「今?」

「うん、今。」


レンが何を考えているのかは分からないが、対策なしにそのように言うのではないという気がした。 あかりちゃんはレンの言うとおりに50万円を送ることはできないとパパに短くメッセージを送った。


父の返事はすぐに届いた。


<そう出るのを見ると仕方ないねか? 申告するしかない!>


あかりはレンにメッセージを見せながら言った。


「ほら、通報すると言っているのに、どうするつもりなの?」

「心配するな。 確認してみたら、今私の身分証明書は18歳になっている。」

「本当?」

「どうせ私も学生だから通報したとしても私を処罰できないよ。」

「でも君は今二十八歳じゃないか?」

「私に考えがある。」


***


翌日、学校の授業が終わった直後、レンは電話に出た。 知らない番号が画面に出ているが、どうしても出ないといけないと思って電話に出た。


「芹沢蓮さんで合ってますか?」

「ええ、そうなんですけど?」

「警察です。 通報が入ってきたのですが。」

「通報ですか?」

「はい。 未成年者の略取誘引の疑いで通報が入りました。 それで、取り調べを受けに警察署に来なければなりません。」

「私はただ家から追い出された学校の友達を家で寝かせてあげただけですよ?」

「学校の友達ですって?」

「はい。 私は今××高校3年生です。」

「通報された方が成人だと言いましたが?」

「何か手違いがあったようですが 私は高校生です。 そして、受験生なので学校に残って勉強しなければならないので、調べに行く時間もありません。 気になることがあれば、学校に来て確認してみてください」

「じゃ、今学校に行ってもいいですか?」

「はい、そうですか。」

「学校の前に着いたら電話します。」


警察官はそう言ってから電話を切った。 レンは教室に座って待ちながら、アカリに警察官から連絡があったというメッセージを送った。 あかりから返事が来た。


<私も学校で待ってるから何かあったらすぐ連絡してね。>


30分ほど待つとまた電話がかかってきた。


「芹沢蓮さんで合ってますか?」

「はい。」

「電話した刑事です。 今学校の前に来ましたが、どこにいらっしゃいますか。」

「教室にいるのですが、校門の方に出ます。」


校門の前に出ると、私服を着た刑事が立っていた。 レンは彼を一度に見分けることができた。


「私が芹沢蓮です。」


レンが近づいて話しかけると、刑事は制服を着ている幼い顔のレンを見て驚きながら話した。


「え?本当に高校生だね? 身分証明書を拝見できますか?」

「はい。」


レンが身分証明書を差し出すと刑事はそれを持って見て理解できないように言った。


「変だね? 間違いなく成人男子が女子生徒を連れて暮らすと言ったのに…···…. もしかしてその女子学生に今連絡できますか。」

「はい。少々お待ちください。」


レンはあかりに電話をかけた。 アカリは5分も経たないうちにレンのところに走ってきた。


「渡辺あかりさんですか?」

「はい、そうです。」

「あなたは芹沢蓮さんと一緒に住んでいますか?」

「はい。 父の暴力のせいで私の行くところもないのに、私の事情を知って友達に自分の家で一緒に生活させてくれました。」

「はあ、まったく。」


刑事はどういうわけかわからないかのように舌打ちしてレンとアカリに言った。


「通報者が何か手違いがあるようですが、教務室に一緒に行って学生たちの身元確認だけちょっとします。」

「はい、そうですか。」


レンはそう言って先頭に立った。 レンとアカリは教務室に行き、教頭先生を指差しながら刑事に話した。


「あの方が教頭先生だから言ってみてください。」


刑事は教頭先生に近づいて挨拶をして、自分が訪ねてきた理由を話した。 教頭先生は刑事の話を聞いてレンとアカリを呼んだ。


「こっちに来てみる?」


教頭先生はレンとアカリが何年何組の生徒なのか聞いて、学籍を確認した。 それから刑事に言った。


「二人とも私の学校3年生の生徒で間違いないです。」


刑事は首を横に振りながら言った。


「こうなると話が変わるんだけど? 私たちは成人男子が未成年女子学生を略取誘引して同居していると通報を受けたんですよ。」

「それは間違いがあるでしょう。 ところで、君たちどうしたの? どうやって女子学生と男子学生が二人で一緒に住んでいるの?」


教頭先生が尋ねると、レンが先に答えた。


「あかりちゃんがお父さんと二人で暮らしていて、お父さんの暴力と暴言のせいで家から出てくることになりました。 それで行くところがなくて我が家で生活させてくれました。 そして、私は家の事情があって一人暮らしをしていました。」


教頭先生は今度はあかりに聞いた。


「レン君の言うことが正確なの? そして、君たち二人は何の仲なの?」

「レン君の言う通り、私は父のために家を出ました。 しかも父は酒瓶を割って私に二度と家に帰ってこないようにと言ったからですから。 そして、レン君とは初めに部活動を一緒にしながら知り合って、今は私の彼氏です。 レン君じゃなかったら、私はもう死んでいたでしょう。」


レンは再び刑事に言った。


「アカリちゃんのお父さんを虐待の疑いで捜査してみることが必要でしょう。」

「一応分かりました。事実確認はできましたので、あなたを別に調べなくてもいいと思います。」


刑事はレンにそう言ってから教頭に言った。


「先生、もともと通報が入ってきて芹沢蓮君を警察署で調べようとしたのですが、学生であることが確認されたので、その必要はなさそうです。 おそらく通報者に何か手違いがあったようです。」

「話を聞いてみたらうちの学校の女子生徒が家庭内暴力に苦しめられたようですが、その部分をちょっと調べてください。」

「分かりました。」


刑事は再びあかりに尋ねた。


「もし必要であれば、あなたを家庭内暴力の参考人として調べてもいいですか?」

「はい、いくらでも。」


あかりはそう答え、教頭先生に挨拶をして、れんとあかりは教務室から出てきた。 アカリは廊下を歩きながらレンに言った。


「君が考えた方法がこれだったんだ。」

「うん。警察を学校に来させようと思っていたの。 学校の外に出ると私の体は28歳になるが、私の身分証は18歳になっていて本当によかった。」

「もう父は五千万ウォンを出せとこれ以上脅迫できないだろう。 むしろ調査を受けなければならない処置になるから。」


あかりはそう言いながら玄関の前で上履きを脱いで靴を履き替えた。 それからレンを見つめながら言った。


「もう私たちには結婚式だけが残っているね。」

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