第7話 初めての仲間
(え!? 喋った!?)
「あれ? 僕の言葉分かるの? それに僕たちの言語話せてる凄い!」
恐らく、君から手に入れた『言語:竜語』のせいだと思うけど、到頭コミュニケーションが取れるようになったのはめちゃくちゃ嬉しい!!
これまで全くコミュニケーションが取れなかったけど、言語スキルを取ることで会話ができるようになるのか。これはまた勉強になった。
(俺の言葉通じる?)
「うん! 君、バブルスライムなのに凄いね! 僕たちの言葉が話せる上に1人で大勢の魔物を倒せちゃうなんて! 危うく死んじゃうところだったから」
言葉は君から盗んだとは言えない。
相手からはまるで敵対の意思がない。寧ろ、俺の身体に寄り添ってくる。
「ねぇねぇ、どうして僕の助けてくれたの?)
(それは……放っておけなかっただ)
「ふーーん君変なの。変だけど僕嬉しい!」
また白銀竜の幼体は俺に近づいてペロッと身体を舐める。
(そう言えば君は1人?)
「うん、目が覚めたら僕一人だった」
そうか、この子も1人なのか。この森で生まれて独りぼっち……境遇は一緒か。
しかし、これはチャンスなのではない? 仲間など絶望的だったこの世界で最初に俺の仲間になってくれるんじゃないか!?
(なぁ、実は俺も1人なんだ。そこで、1人で居るのが何て言うか……心細いと言うか……)
なんだろう、いざ言葉にしてみると小恥ずかしな。けれど、ここは勇気を出して言え俺!
(一緒に森を抜ける手伝いをしてくれないか?)
「……君は僕の命の恩人なんだ。勿論! 僕は君の助けになりたい!」
(ほ、本当か!?)
あっさり承諾してくれた。
夢にまで見たこの世界で初めての仲間。やっぱり思った通りだ。俺の事を分かってくれる魔物もいるんだ。この縁は貴重なのだから大切にしていかないと。
せっかくこういう間柄になったんだ、何か更に距離を縮める方法は……
(そうだ、君の名前は?)
「名前? そんなものないよ。僕たちは
(じゃあ、せっかくだし名前を付け合うっていうのはどうだ? 俺も名前ないからさ)
こうすれば、お互い距離も縮まるだろうし何より今の古川敬って名前のままなのもこの世界では場違いだ。
(命の恩人に名前を付けてもらえるなら僕も嬉しいよ! そうしよそうしよ!)
どうやら乗り気みたいだ。
(それじゃ俺から……の前に、君ってオス? メス?)
(僕はメスだよ!)
メスだったのか……ちょっと意外だ。てことは僕っ子か。それに元気な感じで身体も白くて、よく見るとキラキラ輝いている。まるでクリスタルみたいだ。
(……クリスタ、ていうのはどうかな?)
「クリスタ……クリスタ!! 良い名前!!」
目を光らせて喜んでいる。さっき即興で考えた名前だが喜んでくれたようで嬉しい。
「クリスタ気に入った! 嬉しい! ありがとう!」
そう言ってクリスタはまた俺の身体を舐めた。
クリスタが雌だと思うとなぜか変な感じがしてきた。
いやいや! 相手は魔物だぞ! 何変な気分になってるんだよ!
そう思いつつも、少しだけクリスタから距離を置く。
「決めたよ君の名前! メルクリス! どう?」
(メルクリスか……おお、何かそれっぽい名前だ)
「でしょでしょ♪ 今日から僕はクリスタ、君はメルクリス! よろしくね!」
クリスタは短い腕を俺に差し出した。
(ああ! こちらこそよろしく!)
俺は身体を伸ばしてクリスタの腕を握った。
こ俺は新しい仲間と名前を授かることが出来た。
クリスタとは末永く仲良くしていきたい思う。
「ところでメルクリスさ。どうしてさっき僕から距離取ったの?」
(え!? いや、それは……)
「離れちゃだめだから!」
そう言ってクリスタは俺の身体に抱き着いて頬を摺り寄せた。
こんな気持ち悪い身体にすり寄るなんて……余程好かれてしまったようだ。
でも、嫌われるよりはましだからこれはこれで良いのか?
クリスタが人間だったら……て、何また変なこと考えているんだよ俺。
きっと森を駆け回りすぎて疲れているんだ。ここで少し休んで行こう。
こうして、俺とクリスタは少しの間身体を摺り寄せながら休むことにした。
NAME:メルクリス
種族:
level:5
HP:32
MP:19
称号:なし
魔法:『回復魔法:低級』
スキル:バブルスライム固有スキル『溶解液』
ユニークスキル『無限収納』『大食漢』
エクストラスキル『蠱毒』
コモンスキル『体当たり』『滑空』『高速移動』『鉤爪』『分裂』
『身体硬化』『毒ノ息吹』『毒牙』『飛行』『火ノ息』
言語スキル『言語:竜語』
耐性:『毒無効』『電流耐性』『火炎耐性』
川で溺れたら【液状妖魔族《バブルスライム》】に転生した。 霞杏檎 @kasumi678a
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