第2話 液状妖魔族
意識が徐々に回復してくる。俺の視界はゆっくりと開けていくとそこは洞窟の中だった。
あれ? ここどこだ? 俺が辺りを見回すと石で出来た洞穴の様な所だった。雑草が地面に生えており、壁には苔の様な緑色の植物がこびりついている。
俺は死んだはずじゃないのか? そう思いながらも俺は立ち上がろうとする。
しかし、身体はもう立ち上がっているような感覚がした。その割にはやけに視線が低いような……
俺はゆっくりと身体を動かしていく。何かやけに歩きづらいと言うか、身体がまるで
え? え? 一体何が起きている?
身体を動かしていると近くに水がはっている場所を見つけたので、身体を確認してみよう。
俺は水面に映る身体を見て驚愕した。身体はでろでろのジェルになっており、緑色の身体をしている。
な、なんじゃこりゃああああああああああああああ!?
俺が驚いていると、俺の顔の隣に何かが浮かび上がった。
《ステータスを開きます》
NAME:古川 敬
種族:
level:1
称号:なし
魔法:なし
スキル:バブルスライム固有スキル『溶解液』
ユニークスキル『無限収納』『大食漢』
エクストラスキル『蠱毒』
耐性:毒耐性
電流耐性
何だこれ? ステータス? てことは本当に異世界転生してしまったのか!? で!? 俺の種族は何!? バブルスライムだって!?
俺はショックだった。俯ける首はないが、少しだけ体が溶けたような気がする。
ショックを受けてから少し時間が経ち、少しずつだが現在の状況を受け入れられるくらいの精神にはなってきた。
よくよく冷静に考えたらバブルスライムって毒の沼地とかに生息しているイメージなんだけど……
そう思い、おそるおそる後ろを振り向くと紫色に煌めいた毒々しい沼地があった。
ひぃ!? 気持ち悪ぅ!!!!
俺は慌てて沼地から離れる。しかし、その沼地からは良い匂いが漂ってくるのを感じる。
毒の沼地なのに良い匂いがする。どこか砂糖が混ざったような甘ったるい匂いだ。
俺は恐る恐る手というか体の一部で毒の沼地に触れる。
なんだこれ!? 甘くて美味しいぞ!!
俺は思わず飛び跳ね、体を沼地の中へと入っていく。
ああ、なんで心地の良い場所なんだろう……まるで体が蕩けてしまいそうだ。
そう考えていると、ステータスが反応する。
《ユニークスキル『大食漢』によって取り込み可能な物体を確認しました。取り込みしますか?》
え? 何これ? 取り敢えず、YESで。
《確認しました。取り込んだ物体のデータを表示します》
name:猛毒液
危険度:C
詳細データ:猛毒の沼地から採取された毒。一般の毒とは違い腐食性が高く、取り扱いが危険。
ほーーん。つまり、今俺が浸かっているぬ沼地から採取したって事か。
《更に『無限収納』により、取り込んだ物体を収納しますか?》
お、そんなことできるのか! じゃあ取り敢えずYESにしとこうか。
《確認しました。猛毒液を『無限収納』内に収納しました》
《『毒耐性』が『毒無効』へと進化しました》
何か、淡々とスキルみたいなの使ってるけど、俺のスキルって一体どんな能力なんだ。確認できるのかな?
《スキルの確認を行いますか?》
できるの? できるなら是非詳しくみたいかも。
《確認しました。『古川敬』ステータス内のスキルの詳細を表示します》
バブルスライム固有スキル
『溶解液』:酸性の液体を放出し、金属を溶かします。
ユニークスキル
『無限収納』:別次元の空間を生成し、その空間内に物体を収納する。生成した空間内は制限がなく、いつでも物体を取り出すことが出来る。
『大食漢』
大食漢は以下の能力を有する。
悪食:あらゆる物質や生物を体内に取り込むことが出来る。
解析鑑定:体内に取り込んだもののデータを詳細に調べることが出来る。
能力奪取:取り込んだ生物の
エクストラスキル
『蠱毒』
蠱毒は以下の能力を有する。
猛毒生成・吸収:体内に強力な猛毒を生成することが出来る。また、猛毒を吸収して毒の威力を更に上げることが出来る。
自己再生:体内の細胞を活性化させ、自動的に傷を癒す。
おお! 結構詳しく出てきた!! ほう、無限収納と言うのはどうやらゲームで言うところの『袋』の様な扱いなんだな。
で、大食漢ってスキルなんだけど……いうなれば、俺は何でも食べられるようになったってことか? 『悪食』が大食漢というスキルを象徴しているように見える。
解析鑑定は素直に嬉しい。さっきみたいに俺が取り込んだ物質の詳細が分かることが出来るのであるならば、これはかなり便利になるスキルだ。
そして、能力奪取……これ、もしかして食べた物のスキルを貰えるってことか!? めちゃくちゃ良いじゃん!!
でも、一定確率だから貰えないこともあるってことか。うーーん、一体どれくらいの確率で手に入れられるのかはよく分からないのが問題だな。
あとは……蠱毒って、中々物騒なスキルがあるな。内容は見た感じ猛毒を体内に作ったり、吸収したりできるのか。
へーーじゃあこれって、俺のスキルの中にある溶解液と組み合わせると……まさか……
俺は恐る恐る石壁の方を向く。そして、蠱毒の能力を使ってみた。身体の内側が少しぽかぽかあったまるような感じがして来たタイミングで、俺は唾を吐き出すような勢いで身体を動かした。
すると、身体の表面から紫色の液体が出てくると壁にべっとりと付く。壁についた途端、雑草が焼き溶けるように腐食していくのが見えた。
わ……わーーお。中々物騒じゃないか……
でも、これは俺の身を守る大きな攻撃手段になるのではないだろうか!! 俺はこの技を『
さて、技も手に入れたし、ここからどうしようか。
後ろを振り向くと、洞穴から光指すように道が続いているのが見えた。恐らく、ここから出ろと神とやらそう言っているのかもしれない。
どうせここに居たってつまらないし、せっかく転生したんだから旅に出てみようか!! もしかしたら、同じ仲間のバブルスライムにも会えるかもしれないし。友達になれるかは分からないけど、一歩踏み出すことが大事だって生前偉い人が書いた本に書いてあった気がする。
そんな強い思いを抱いて、俺、古川敬ことバブルスライムは外を目指して歩き出した。いや、這いずりだした。
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