第2話
「痛い…寒い……え、どこ。うち死んだんじゃ…なんでこんな…」
まひろが目を覚ました場所は鳥のさえずりが綺麗に響き、木々の間から太陽の光が差し込む森の中。
そこには綺麗な浅い湖があり、その中にまひろはいた。
「腕も足の痛みが消えてく…なんで……待って!?なんか寒いと思ったら全裸じゃん!最悪なんだけど!ちょ、人に見られたら死ぬ…」
事故で出来た傷や折れた骨が綺麗に元に戻っていくのを不思議に思いながら自分の体をみて赤面しながら体を手で隠す。
「ど、どうしよ…」
ガサガサ
「な、なに?!マジ無理!なになになに」
「え、、あ。」
草むらから音がして後ろに下がりながら怯えていると、草むらから出てきたのは同い年ぐらいの男だった。
「え、え?!なんで全裸?!服!服きてください!!」
「ちっ、違うの!!うちもよくわからないの!目が覚めたらこーなってて…」
赤面した顔を手で覆い慌てる男に背をつけて、男より顔を赤くして話す八口。
「あぁ…んん…ならとりあえず、オレのこれ着てください」
男は顔は横を向いてまひろを見ないように、自分が羽織っていた大きめの上着を渡した。
「あ、ありがとう…」
「あんた、名前は」
「ま、まひろ」
「どこ出身だ」
「と…うきょ…」
「なんだそこ、街か?国か?聞いたことないな」
「えっと…じゃあ日本!」
「そこも聞いたことがないな…まぁいい。自己紹介が遅れた、オレはルチア。そしてここは、イニティウム。人が沢山いて物資も多い、街から少し離れたここの森にも沢山の木の実があるんだ」
男は腕を組みながら考えるも聞いたことがない名前に困惑しながら自分の名を語り、街の説明をした。
「そうなんだ…すごい…」
(日本じゃないどころか、国名まで知らないって、うち一体どこに来たの…)
「あんた、一先ずオレん家来いよ。そんな格好で一人となると、攫われて奴隷行きも考えられるからな」
まひろが不安がっているのを察したのか、ルチアが優しく持ち上げ、お姫様抱っこをして歩き始めた。
(なにこれ…ちょーかっこいいんだけど…今すぐにでもポイッターに呟きたい…"#かっこいい#紳士#惚れそう#全裸"とか。)
「オレが女持って街行くと騒がれっし、目立たず行くから、少し我慢してくれ」
「え?」
そう言った瞬間ルチアは飛び、木々の太い枝を軽々飛び越えて行く。気がつくと、レンガ造りの建物が沢山立てられている街中に来た。街に入っても変わらず建物の屋根を飛び越えて行く。素早いため誰もルチアとまひろの姿に気づいていない様だ。
「すっご!ルチア、空飛べんの?!」
「別に空は飛んでないよ、こんなんガキの頃からやってれば出来ることだろ」
「いやできないでしょ」
綺麗に飛びながら話すルチアに感動しながら驚きを隠せないまひろ。
「よし、着いたぞ」
「ありがと…」
着いた場所は街から1キロほど離れた所にあるそれほど大きくないレンガ造りの家だった。周りには井戸と入口付近に花壇が二つあるぐらいで周りは木々に囲まれていた。
「ルチア…ぼっち?」
「はぁ?なんだよ"ぼっち"って、早く入れ。今暖炉に火、付けるから待ってろ」
まひろを家の中にいれ暖炉の前に座らせ、日を起こすルチア。
「とりあえずその上着だけじゃ寒いだろ、姉さんの服、着とけ」
ルチアは戸棚から白いワンピースを出し、まひろに渡した。
「ありがとう…着替えるから向こう向いてて!」
「わっ、わかってるし!」
まひろに言われて顔を赤くしながら背を向けるルチアであった。
#異世界転生〜ギャルが転生とかありえない!〜 寝る子は育ちます。 @nerukowasodachimasu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。#異世界転生〜ギャルが転生とかありえない!〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます