第二十三話.ギャンブル対決!大逆転のチャンス!?
ギッと音を立てて木戸を開く。閉め切ったその小さな一部屋からはうっすらと白い煙が漏れ出てきた。煙草の匂いが充満しているそ薄暗い部屋に一歩踏み込む。部屋の真ん中の床には先程の冒険者らしい男たちが並んで座り。その正面で村の者らしい小太りの男があぐらをかいている。
「座りな、カード遊びだよ」
小太りの男はニッと笑って手招きする。その呼びかけに応えて、三人も床に座り込んだ。真ん中にキツネ、左右にルシアとマヤの構えである。先に座っていた冒険者風の男が、となりで頭を掻きむしっている。
「よし勝負だ!」
男は小さな手のひらほどのカードを三枚持っている。それを目の前に叩きつけて出して見せる。白地にいくつかの赤い点があるカードだ。それを三枚。小太りの男もそれに応えるように持っていた三枚のカードを見えるように広げた。
「おっと、わしの勝ちだね」
「くそっ!もう種切れだ!」
「あ、お兄さん冒険者だろ。良いよ、座りなよ。いつも世話になってるんだ、少し貸すよ。ほら、わしらと違って宿代だっているだろう?」
「しかし」
「まだやるなら勝って、今日中に返してくれたら全然良いんだよ。もしダメだったら明日、一割上乗せして返してくれりゃそれで良いし」
「そ、そうか。悪いな」
そう言いながら、冒険者風の男がいくらかお金を受け取っている。
「うわぁ冒険者が、村人に騙されてる……」
「なにぃ?」
「あっすみません。こころの声が出ちゃって」
口は災いのもとである。小太りの男が反応するので、慌てて謝っておく。となりのマヤがしーっと唇に指を置く。
「それで、遊んでいくのか?」
「もちろん!ルールを教えてくれよ」
そう言いながら、キツネが懐から銀貨を何枚か取り出した。
「お金あるじゃん」
「虎の子のへそくりだよ」
マヤのクレームに、キツネがそう答えた。小太りの男はぺろっと自分の唇を舐めてから言った。
「ルールは簡単だ。この小さなカードに一つから六つの赤い点が打ってある。それを最初に皆に二枚づつ配る」
「それで?」
「親であるわしと勝負だ。基本的には赤い点の数が多い方の勝ち。もう一枚引きたければ、一枚まで追加できる」
「なるほど、二枚か三枚のカードで数を競うって事ね」
「そうだ、けれど十二より大きい数になってしまうと負けになる。つまり十二が最高の数となる」
言いながら、男は煙草に火をつけて咥えた。
「最初に金を賭けて、勝てば倍。負ければゼロ。同じ数なら引き分けで、賭け金を倍額にして次のゲームだ。単純なゲームだろう?」
「そうだな。とりあえずやってみるよ」
そう言いながら、キツネは手持ちの銀貨を一枚。目の前に出した。金を借りたとなりの冒険者も金を置く。他にも二人、同じく旅人だろう男たちが賭け金を置いた。それぞれの思惑が交差する中、カードが配られた。キツネの持ち札は、4と6合わせて10だ。
「どうする?」
小太りの男が皆に聞いて回る。カードをもう一枚追加で引くかどうかの確認だ。キツネは首を横に振った。
「勝負だ!」
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