第2話 転生してもギャンブラーだった件
俺は、異世界感あふれる街並みを堪能しつつ、助言に従って
そして、そこに向かう間に、渡された
「謎の刻印が入った短剣一つ、金貨だと思われるものが数十枚…」
これ等が凄いものなのか、はたまた
色々と考えていると、
俺はその建物に入り、そこの受付に向かう。
「いらっしゃいませ!受付カウンターです。なんのご用件でしょうか?」
受付の女性が、要件を訪ねてくる。
―ふと思ったが、俺は何故、この国の言語がわかるんだ?
看板に書かれている字は日本語ではないのに、意味だけはわかる。これも
「ぼ、冒険者になりたいんですが…」
「冒険者登録ですか。でしたら、試験を受ける必要がございます。
まずは、この水晶球に手をかざしてみて下さい。あなたの
俺は指示通りに水晶球に手をかざす。
すると、謎めいた数字や文字列が水晶に浮かび上がった。
受付嬢は水晶に一枚の紙をかざし、水晶に浮かんだ文字を紙に写し取った。
「これには、あなたの持つ
それと、五之刻に実技試験を行います。そこまでに、万全の準備を行っておいてください。」
彼女はそう言い、一枚の紙を俺に渡した。
興味本位でそれに目を通すと、こんな事が書かれていた。
【
【剣術iii】【言語解読】【炎魔法ii】【雷魔法ii】【風魔法i】
耐性
【痛み減少】【物理攻撃耐性】【状態異常耐性】
小学生の時、剣道を習っていたので、剣術の
「【
俺の嘆きが、ギルド内に響いた。
…終わってる俺のステータスに絶望し嘆いていると、あっという間に
「今からテストを始める。受験者!覚悟は出来ているか?」
試験官の問いかけに、受験者達は頷いた。
…いや、俺は一切覚悟出来てないんだけど。
「それでは初めに一番!上がってこい!」
呼びかけに答え、一番の受験者がステージに登壇する。ちなみに、俺は三番だ。
「これから、Hランクテストを始める。
俺の呼びかけに答え現れよ!【
試験官のおっさんはそう唱え、一匹の
一応、テストのルールは調べてきた。
まず、冒険者としてふさわしい実力を兼ね備えているか、試験管が呼び出した召喚獣と戦い、実力を測るらしい。
もし、その試合に勝ったら、冒険者ランクを決めるために、続けて魔物との連戦を行う。
俺、まず一戦目が勝てるのか?
話をステージの上に戻そう。
狼が受験者に向かって走り、噛みつこうとする。
しかし、受験者は、持っていた大剣で攻撃を弾き、狼にカウンターを入れようとした。
だが、狼も華麗な身のこなしでカウンターを避ける。
お互いの技が当たらない、持久戦が始まった。
…五分程たった。受験者、狼の両方とも疲れが蓄積されている。
しかし、大剣を持ち、重装備を身につけている受験者の方が、溜まる疲れは多い。受験者は狼よりも先に倒れてしまった。
「お前はここまでのようだな。…次!」
2番の受験者がステージの上に登る。服装を見るに、今度は魔法使いっぽさそうだ。
「お前はGランク冒険者だな。では、Eランク試験から始めよう。」
どうやら、彼はもう冒険者らしい。ランク昇格試験から始まった。
「来い!【
おっさんはそう唱え、巨大な蟻を呼び出した。
今度は蟻か。もし、俺が試験で戦う相手が同じ奴なら、あいつの行動パターンも覚えておかないとな。
蟻は標的を見つけると、尻に付いている毒針から、男に向けて毒液を発射してきた。絵面が物凄く汚い。
そんな毒を、魔法使いは魔法弾で相殺し、すぐさま火球を数個出現させる。
複数の火球が蟻向けて飛んでいき、辺りを巻き込んで爆裂した。衝撃で土煙が上がる。
「やったか?」
魔法使いが小さく呟く。あーあ、そんな死亡フラグ言わなければ良かったのに。
先の攻撃を耐えた蟻が土煙の中から飛び出し、勝ったと油断していた魔法使いに襲いかかった。
「そこまでだ!」
試験官の掛け声と同時に蟻が消える。
「敵の生死を確認するまで油断はするな!
…次、三番!来い!」
あっ!もう俺の出番!?ヤバいんですけど!?。これ勝てるのか?
怖じ気づきながら、俺はステージに上がる。
「では、試験を開始する。
我が呼びかけに答え、来い!【
試験官は、先の試験で戦っていた奴と同じ種族の召喚獣を呼び出した。
行動パターンも見てたしこれなら勝てる。俺はそう思い、一つの
現役の冒険者に聞き込みし、試合開始までの待ち時間で練習したお陰で、
俺は【
これは物の価値がわかるようになる…だけでなく、動体視力が良くなったり、相手の弱点なども分かるようになる
さらに、俺は【
二つのスキルの補正で、狼の動きがかなりスローに見えるようになる。
襲いかかってくる狼の攻撃を避け、俺は手に持つ短剣で狼に一撃を入れた。
カウンターが完全に決まり、狼は倒れ、煙となって消えていく。
「ほう、今回の試験にも、少しは出来る奴がいたようだな。
お前さん、昇格試験も受けてみるか?」
試合結果を見て、試験官がそう尋ねてくる。俺は頷き、その提案に承諾した。
「では、お前の実力を見せてみろ。
来い!【
試験官は先程の試験で召喚した蟻を、もう一度呼び出した。
俺は早速【鑑定眼】を使い、蟻の身体的特徴を読み取る。
うっわ、硬った。外骨格が予想以上に硬い。流石はあの火球を耐えただけあるな。
しかし、生物である以上、絶対脆い部分はあるんだよ。
俺は狙いを済まして、脆い部位―足の節―を斬った。足を無くした蟻は、バランスを保てず動きを止める。
「これで勝ちって事でいいですか?」
トドメを刺せって言われても、俺の武器じゃあこの外骨格を貫く方法がないんだけど。
「ああ、それで合格だ。
それで、次の試験も受けるのか?」
「はい、このまま次の試験もお願いします。」
体力も魔力もまだまだ残っているし、出来るところまでは行っておきたい。
「健闘を祈る。
俺の呼びかけに答えよ!【
試験官は呪文を詠唱し、一つの甲冑を呼び出した。
俺は、召喚獣の特徴を【鑑定眼】を使って見抜こうとする。
へえ、あいつは
それなら短剣を仕舞い、違う手段を用いて討伐…としたいところだが、即席で戦う準備をした俺が、
…使いたくなかった、この方法を除いては。
「運命回し、
【
俺は詠唱をし、【
何が起きるか、誰に当たるか、魔法を唱えたものにすらわからない究極の天任せ魔法、【
その中の【
逆転の一手を引くときもあれば、自爆魔法なんかも使われる可能性がある。最強最悪の運ゲーだ。
今回選ばれたのは、氷の魔法だと思われるものだった。
氷で出来た槍が、俺の頭上に数本現れ、鎧向けて飛んでいき、奴を貫く。
氷槍が貫通し、鎧は動きを止め、煙となって消えていく。
「ほう、奴に勝ったか。
それでお前、次の試験も受けるか?」
試験官がそう言った。
次の試験では、今のより強いのが来るのか。そう考えると…
「いや、ギブで」
冒険者にはなれたし、目標達成だからな。
「そうか、では、
…次、4番!」
試験官はそう言う。俺は試験官の指示通り、
…俺は冒険者になった。これが、ギャンブル勇者として世界を救う第一歩なのだろうか?
…それはまだ誰にもわからない。
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