最終話
――七年後。
場所はチャペル。小綺麗な衣装を着て集まる学友たち。
「いやー。しかし、あっという間だったな」
勇作がつぶやいた。
「うんうん」
健太が頷いた。
「アレがアレだったよねー」
健太の妻のゴリ江が言った。後藤とは三年前に別れていた。
「お前、学生時代の蒼馬を知らないだろ」
夫がツッコミを入れると、ゴリ江は舌をペロッと出した。
「はー。だるぅ」
影雄はふてぶてしく椅子に座っていた。彼は現在無職だ。自称小説家らしい。
「しかし、蒼馬があの子を選ぶとは思わなかったなぁ」
影雄は煙草を手に持つが、火気厳禁だったことを思い出し、ポケットにしまった。
「そうか? 俺は妥当だと思ったぞ」
勇作が言った。
「お前はちゃっかり、おこぼれもらっているもんな」
影雄が皮肉を言った。勇作の左手薬指には指輪が光っていた。
「へへっ」
「俺はいまだに、素人童貞だよ。ああ、だりい」
影雄は益々ふてぶてしくなった。
「みんな、待たせてすまない。彼女の支度に時間がかかっていてね」
蒼馬が現れた。彼はもうケンタウロスではなくなっていた。
チャペルの扉が開き、花嫁の姿が見えた。
彼女は――。
***
***
***
蒼馬は目が覚めた。
「なんだ。夢か」
体は相変わらずケンタウロスだ。しかし、違和感があった。
「あれ?」
ベッドの左側には
「どういう状況?」
ベッドの右側には美波が眠っていた。
「え? え?」
蒼馬が戸惑っていると、寝室のドアがノックされた。
「おやすみ中のところ、すみません。ご友人が……」
執事の言葉の途中で、ドアが乱暴に開かれた。
「蒼馬!」
翔子だ。ベッドの状況を見て、彼女の顔はみるみる赤くなっていた。
「最低!」
こんな学園ラブコメは嫌だ! 白馬の王子様ではなく白馬のケンタウロス男子が求愛してきた むらた(獅堂平) @murata55
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