第7話 古都アウディール

あの後20分程歩いてようやく城門らしきものに出会えた。

疲れなどは感じなかったが、毎度見える同じ景色に飽きが来ていた頃だったから助かった。

早いとこやることを済まさないとな。

そう思いながら通ろうとするが、止められた。

「お前、見ない顔だな。入都許可証は持ってるか?」

「入都許可証?」

「その様子だと持ってないようだな...代わりに名前と職業だけ教えてくれ。仮の入都許可証を発行するために必要なんだ。」

困ったな。ステータスには職業なんて欄は無かった筈だが...適当に誤魔化すか。

「名前はレイ。職業は無い。」

「無いのか?身なりから冒険者かと思ったが。」

「ああ。この都市のギルドで冒険者登録を受けたいと思ってるんだ。」

「なるほどな。よし、発行完了だ。気を付けろよ~」

案外優しい門番だったな。

早いとこギルドに行くか。


この都市は想像とは違って中世ヨーロッパの建築に似た建物が並んでいた。

予想以上に綺麗な都市だ。

そういえば、腹が減ったな。

食糧買うついでにギルドの場所を聞き込みしてみるか。

と、服の裾を掴まれた。

振り返ってみると、まだ10歳くらいの幼い女の子が震えながら裾を掴んでいた。

「た、助けて...ください...」

来て早々だなと思いつつも女の子を道の端に寄せる。

「どうしたの?」

「怖い人たちに...追われてて...」

「いいよ、助けてあげる」

「本当ですか...!」

少し安堵した表情を見せた。

ちょっと鑑定してみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ネクシア

Lv.4

奴隷(主:不明)

Atk 35

Def 24

Mag 80

Agi 40

Luk 75


スキル

【治癒魔法 初級】 【白魔術 中級】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど、奴隷か。

耐えられなくなって逃げてきたんだな。

「おい、そこの兄ちゃん」

「はい?俺ですか?」

「ああそうだよ兄ちゃん、そこのガキを返してはくれないか」

「ヒッ」

ネクシアが後ろで震えている。

なるほど、こいつが奴隷商人か何かか。

手っ取り早く拘束した方が身の為だな。

(できるか試してみるか...。【創造】)

ー条件達成。スキル【創造】により、【拘束魔法 極】が創造されました。ー

ー【拘束魔法 極】を獲得しました。ー

「【拘束魔法 極】」

「チッ、めんどくせぇことを...うお!?」

「これで身動きは取れないだろう?」

「そいつは俺の妹なんだ、返してくれ!」

「お前、奴隷商人だろ?」

「チッ、バレてやがったか」

「幼い子に手を出そうとするとは...1回牢獄で反省した方がいいんじゃないのか?」

「何事だ!何があった!」

警察らしき奴が2人ほど寄ってくる。

「奴隷商人です。幼い子に手を出そうとしてたので。」

「助かった、ありがとう。このアウディールは奴隷商人などを厳しく規制しているんだがな...その穴を潜り抜けてきた奴らしい。」

「協力感謝する。後、そこの元奴隷についてだが...」

「この都市では、奴隷商人を捕まえた人が世話をするようになってるんだ。」

ん?ちょっと待て。

俺がこの子の世話をこれからしなきゃいけないのか?

こんな幼い子を?

どう考えても勘違いされるだろ。

「まあ、そういう規律なんだ...大変だろうけど...頑張ってくれ。」

そう言って、奴隷商人を連れて行ってしまった。

ああ、まじか。

大分ヤバくなるかもしれない。

「あ、あの...」

「助けてくれて、ありがとうございました」

「あと...これからよろしくお願いします」

ネクシアが頬を赤らめる。

やめてくれ。俺がヤバい奴みたいじゃないか。

「ああ、よろしくな。」

ちょっとマズいことになったかもなぁ...飯買いながら早いとこギルドに行くか...

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