06:ただ、会いたいだけ

 あれから一週間。

 “あれ”っていうのはあいつに……大に初めて会った日のこと。

 あの日からあいつの姿を見ていない。

 そのせいで何でか分からないけどすっごくムカついていた。

 あれだけしつこく馬鹿なことばっか言ってきてよ?

 一週間音沙汰なし! って。


 別に会いたいってわけじゃないのよ?

 会いたいって、わけじゃ、ない。

 別に……会いたくなんか。


 でも、やっぱり、会いたいのかな。


 本当は……会いたいのかもしれない。

 あいつ、自分勝手だよ。

 会いたくないって時には現れるくせに会いたい時に会えないんだから。


 自分勝手。最低、最悪。


「ばーか」


 なんて呟いてみる。

 どこからかあいつが「誰が馬鹿だよ」って現れそうな気がしたから。

 でも、どれだけ待ってもあいつは来ない。来てくれない。


 会ってどうこうしようとは思ってない。

 ただ、何となく会いたい。それだけ。


 あいつは他の奴とは違うってそう思ったから。

 そんなのあたしの気のせいかもしれない。

 だから確かめたい。

 それが気のせいじゃないってことを。


「なーんて、ね。馬鹿みたい。あたしの、ばぁか……」


 大の、ばか。

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