06:ただ、会いたいだけ
あれから一週間。
“あれ”っていうのはあいつに……大に初めて会った日のこと。
あの日からあいつの姿を見ていない。
そのせいで何でか分からないけどすっごくムカついていた。
あれだけしつこく馬鹿なことばっか言ってきてよ?
一週間音沙汰なし! って。
別に会いたいってわけじゃないのよ?
会いたいって、わけじゃ、ない。
別に……会いたくなんか。
でも、やっぱり、会いたいのかな。
本当は……会いたいのかもしれない。
あいつ、自分勝手だよ。
会いたくないって時には現れるくせに会いたい時に会えないんだから。
自分勝手。最低、最悪。
「ばーか」
なんて呟いてみる。
どこからかあいつが「誰が馬鹿だよ」って現れそうな気がしたから。
でも、どれだけ待ってもあいつは来ない。来てくれない。
会ってどうこうしようとは思ってない。
ただ、何となく会いたい。それだけ。
あいつは他の奴とは違うってそう思ったから。
そんなのあたしの気のせいかもしれない。
だから確かめたい。
それが気のせいじゃないってことを。
「なーんて、ね。馬鹿みたい。あたしの、ばぁか……」
大の、ばか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます