03:変な奴はあたし?
ここまで来れば大丈夫よね。
本当、変な奴だったなぁ。
人の顔を見て嬉しそうに「お前も死んでるんだろ?」はないでしょ。
あんなバカの相手してたら疲れちゃった。
公園で休むっていうあたしの計画が台無しになっちゃったし……。
次に会ったらどうしてくれようって思ったけどもう二度と会いたくないっての。
……でも。
空を見上げたあいつの顔がなんか寂しそうで、どこか辛そうで、なんでだろ。
あいつのあの表情が頭から離れなかった。
って! あんな奴のこと考えてたらどっかでばったり会いそうだからやめよ、やめッ!
違うこと考えよ。
…………。
『あ、俺は大! 俺の名前は大だからな、だーいー! 忘れんなよ!』
……大かぁ。どういう漢字なんだろ。
普通に"大きい"の『だい』かな。
ってぇえええ!
もう、あたしの馬鹿ッ!
忘れんなよ!?
うん、忘れてやる。
今すぐ忘れてやる。
忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ。
「ぁあ、もう! バッチリ覚えちゃったじゃないッ!」
「ママー、あの人なんで怒ってるの?」
「しーッ、見ちゃいけません!」
なッ……し、しまったぁッ!? 私まで変な人に思われた!?
もう全部あいつのせいだ。変なのに絡まれたせいだ!
こんなことで取り乱してるなんて不覚だった。
あいつ、何か怪しい電波でも出してるんじゃないでしょうね?
それで汚染されちゃったとか。
「パパー、あの人どうしてブツブツ呟いてるの?」
「汚染とか言ってるからね。きっと地球の環境問題について考えてるんだよ」
そこの誰かのお父さん、それは少しズレてませんか?
って、危ない危ない!
これ以上、取り乱しちゃいけないわ。
塾に行かないと! って、……ん、塾?
「あぁぁあッ!?」
「じーちゃん、あの人いきなり叫びだしたよ!?」
「周りの人が驚くからの。お前は気をつけるんだぞ」
「はーい」
塾のことすっかり忘れてたぁッ!
行かないと、行かないと……またネチネチネチネチ嫌味言われるに決まってる。
あぁ、でも間に合うかなぁ。
と、とにかく急がないとッ!
あたしの馬鹿ぁ……。
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