06:見てるだけの日々

 あれから一週間くらい経った。


 なのに空に声をかけることできないでいる。


 俺は空と出会ったあの場所で毎日塾に通う空を見てるだけ。


 いざ声をかけようとすると声が出ない。

 どうしてだろうな。心が痛くなる。


 塾に通う空を見る度、友達と話してる空を見る度、俺と空は違うんだなぁって思えた。


 そして羨ましいって思った。

 空と一緒に話してる友達が。


 今まで生きてきてこんなに辛いと思ったのは初めてで、このやり場のない気持ちをどこにぶつければいいのか、それが分からず俺は今日もただ佇んで空を見てるだけ。


 空は生きてる。

 俺は死んでる。


 この差ってなんなんだろう。


 他の人に見えなくても空なら俺の姿が見えるし声も聞ける。

 あ、でも、空に触れることは……。


「あはは……さすがに、無理だろーな」


 でも、触れたい。

 空に、触れたい。


 俺は大きくため息をついて道に座り込んだ。

 こんなとこに座り込んでも誰かの迷惑になるわけじゃないしな。


 こーいうのを自暴自棄っていうのかもな。

 何拗ねてんだろ、俺。


 俺ってこんなに女々しかったか?


 あー、もうッ!

 こういうのは俺らしくない!

 よし、声をかけてやる!

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