05:あいつ、生きてたんじゃん。

 あれから俺は空を追いかけてここに来た。

 どうやら空が通っている塾らしい。


 空はそこで勉強してた。


 友達っぽい奴と話したりしてた。


 死んでたらあんな風に勉強できないよな。


 あぁ、そうか。

 あいつ、生きてんだ。


 なんだ。


 あいつ生きてたんじゃん。


「そういえば、死んでないって、生きてる人間だって……言ってたなぁ」


 仲間だと思ってた。


 俺みたいに死んでさ。

 どこにも行けずにいるのかと思ってた。


「……俺、バカみたいじゃん」


「あーあ……空、怒られてるし。あはは、情けないなぁ……情けなッ……」


 分かってるんだ。

 情けないのは俺。


 勝手に勘違いして、一人で突っ走って、空に迷惑かけて。


 塾が終わって友達と楽しそうに帰ってく空を見て、俺はもう、空とは会わない方が良いのかなって思った。


 俺の為にも。

 そして空の為にも。


 でも、なんでだろ。


 きっと、俺が死んでから。


 こんな俺を初めて見つけてくれた空だから。


 誰も気付いてくれなかった俺に気付いてくれた空だから。


 このまま会えなくなるのは嫌だと思った。


 けど死んでるなんて言っても分かってもらえないだろうからなぁ。


 いや、俺が本当は死んでるなんて知られたくないから、だから俺は"生きてる人間"として空に会おうと心に決めた。

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