03:名前を足したら

 あの子が去ってから。

 なんて言えばいいんだろう。

 孤独感っていうのかな。


 そんなのがさ、やってきたんだ。


 すげー寂しいっていうかさ。


 うん、そんな感じ。


 俺らしくないなぁ、って思う。

 なんでだろうな。

 久しぶりに人と話したからなのかもしれないな。


「空、かぁ。良い名前だよなぁ」


 俺さ、気付いたんだ。


 俺の名前とあの子の名前。


 足したら"大空"になる。

 互いに生きてた間に出会ってたら良いコンビになれたかもしれないよな。


「って、なんのコンビだっての」


 空を流れていく雲を見つめながら俺は笑っていた。


 また、会えるかな。


 そして会えたら、

 一緒に天国にゴールインしようぜ!

 あの空に向かって頑張ろう!


 とか言ってみたりして。


「……バカらし。やめだ、やめ」


 さて、これからどうしたものか。


 仲間に出会っても状況は変わらないんだよな。

 そう、俺は行くべきところに行かなくてはならないのだ。


 行くべきところ、つまりッ、空だ! 空の上だッ!

 って、こうやって力説しても行けるようなところじゃないよな。


 ……暇だ。とにかく暇すぎる。


 人どころか犬も猫も鳥さえもいない。


 空はどこにいるんだろう。

 探してみるかな。

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