第3話
狩猟小屋で食事をいただいた後に、街へ戻る。その足で猟師組合により解体用の道具を購入し、鍛冶組合で砥石も購入。
「鏃だけ購入する事はできますか?」
砥石を買うついでに鍛冶組合で聞いてみる。
「ええ、できますよ。ただ最低個数が200個からになります。」
「200個ですか。」
「はい、ただ矢を自作される方は数人集まってグループで購入されているようですよ。」
そうか、猟師小屋にいた猟師に話を聞いてみよう。
矢は自作したとしても弓は買いたい。道場では弓を借りて練習していたので、弓を探す。竹や木で作られた単弓は、強度が高いが大きさが大きくなる。複合弓は取り回しが良いが価格が…
あれこれ悩んだ結果、複合弓を購入する事に。武器屋では矢は10本単位で販売されていたので、とりあえず20本購入。
「これから森に入りますね~。野営する予定なので帰りは明日の予定です。帰りに寄りますね。」
狩猟小屋に一声かけて森に入る。
今回の採集では、森の奥に入る予定。
これまでは痕跡を見つけるだけだった動物たちと遭遇する可能性が上がる。予定としては、1日目は従来通り採集、2日目の朝から森に分け入っていく予定である。
「足跡が幾つかあるな」
いつも通り野営をし、森の中で朝を迎えた2日目、普段より森の奥へ歩くと動物の痕跡をみつける。
「それにこれまで見つけられなかった薬草も幾つかあるぞ」
本題の薬草採取に取り掛かる。
「結構、種類が集まったな。」
結局、動物に遭遇することなく、採集を終える。
「森から戻りました」
狩猟小屋に声をかける。
「おう、何か狩れたか?」
「足跡は見つけられたのですが、動物には会いませんでしたね。」
「そうか。まぁ、そんな簡単に狩られると、俺らの仕事にならんしな。」
猟師は笑いながら言う。
「良かったら、動物の見つけ方を教えてやろうか」
猟師から提案をうける。少し考えたあと、提案を受け入れることとした。
「明日、朝に来れるか? 日帰りで狩りに行く予定だ。」
「わかりました。また明日伺いますね。」
薬草を持って、調薬師を訪ねる。
「今回は、奥に分け入る事が出来たので、いつもと比べ種類が増えましたよ。」
「ありがとうね。でも、無理はしなくていいからね。前も言ったけど、継続して薬草を持ってきてくれる方が助かるから。」
調薬師に再度、注意を受けるが、森の奥に生えている薬草も足りない事は事実だ。多少のリスクには目をつぶって、採集を続ける必要がある。
「大丈夫ですよ、明日猟師の方と森に入って、動物の見つけ方や注意点を教えてもらう予定ですし。そうすれば、危険な動物を避けることもできますしね。」
「そうかい? なら良いんだけど、本当に無理はしないでね。」
「明後日、調薬を教えてもらう事はできますか? そろそろ、初級調薬師試験に向けての勉強を始めようと思いまして。」
「あぁ、構わないよ。試験範囲の薬の調薬を教えようじゃないか。」
調薬師と講義の約束し店を出る。
翌日、朝から準備を整え、狩猟小屋を訪れる。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
「おお、来たか。では、森に行くとするか。」
「今日は、俺ともう一人、併せて3人で森に入るとするよ。」
「今日はよろしくお願いします。私は、アランと言います。」
それぞれ、自己紹介をする。猟師は、ロバートとリーグと言うらしい。
「では、まずは水場を目指すとするか。」
狩りでは、動物の痕跡を見つける必要がある、そのために動物が必ず訪れる水場に向かう。
「ここでは、足跡を探す。足跡だけでここに来る動物がどれくらいいて、何種類くらいいるかを調べる。肉食の動物の足跡がある場合は、注意だな。出会いがしらに遭遇するとこちらが狩られる立場になるからな。」
猟師の笑えない冗談を聞きながら、足跡の見分け方を教えてもらう。これも【鑑定】スキルに反映されるらしく、【鑑定】スキルのレベルが上がる。幸いにして、今回は肉食獣の足跡はなかったらしい。
「次は獲物とする動物の足跡をたどる。今回はパーリオを狙うとしよう。」
事前に見ておいた図鑑によると「パーリオ」はイノシシらしい。足跡をたどり、森に入っていくと、猟師が立ち止まる。
「ここに糞があるから見ておけ。」
猟師が指さす先を見ると、たしかに動物の糞がある。
「このあたりが、
暫く周辺を探していると、また猟師が声を上げる。
「ここに食事をした後がある。」
猟師の近くによると、木の芽をかじった後がある。
「ここまで痕跡があると、近くに
イノシシに突撃されると確かにきつい。猟師の指示に従い、周辺を探す。
「いたぞ。」
「大きい方を狙うぞ。お前は弓に自信があるか? 外しても良いから、目を狙って撃ってみろ。」
猟師の指示に頷きながら、矢をつがえる。一呼吸置いた後、矢を離す。
「命中だ、よくやった。」
矢が
「可能な限り一撃で仕留めた方が良い。弱った動物に暴れられると厄介だからな。」
今回は、矢が深く入ったことが勝因らしい。
「そういえば、皆さんは矢を自作されていますか?」
「あぁ、自作しているよ。鏃の共同購入に加わるか?」
こちらがお願いする前に鏃の話をされる。
「初めての狩りで、一撃で仕留められた人間は貴重だからな。」
とりあえずは、合格点をもらえたようだ。
「今日はこの一頭で終わりにするか。逃げた奴を探して狩るのも良いが、あくまで狩りのやり方を教える事が目的だしな。」
仕留めた
「狩りに行くなら2人以上を勧めるよ。獲物をしとめた後に一人で担いで帰る自信があるなら、一人での狩りを止めはしないが…」
今日仕留めた
「どういう狩りをするかは、少し考えてみます。また同行をお願いする事があるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。」
狩猟小屋に着き、今回は
解体した
初めての狩りはこうして無事に終わった。
今回は、一撃で仕留められたからよかったが、向かってきた場合はどうすべきかを考えながら休むとする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます