第17話

東北の山奥

  世路山毛欅村(よろぶなむら)


「そんちょ 、村長」

「アーん、吾作、今、なんて言っただ」

「村長って申したでゲロ」

吾作が村長の永田英明に申し開きを

するようにそう告げた。

「無自戒たちの鎮魂祭の日程ですらが」

「ああーあ、半妖の。そういえば

すっかり忘れとった」

「婚儀」

吾作が婚儀の名を呼んだ。

すると、どこからともなく

婚儀が姿を現した。

「どうだ、無自戒の命、貰い受けたか」

「いえ、恐れながら、まだにてございまする」

「早くしろ、婚儀、そうしないと、鎮魂祭が

形だけに終わってしまう」


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