第11話

「ブッ」

虚を突かれた。

体内の自動再生機能を

使う前に、無自戒は

事切れた。


極楽浄土はそれこそ、

素晴らしかった。

他に類例をみないような、極彩色の世界で

無慈悲もその素晴らしさに、しばし酔った。


無慈悲が目を覚ましたのは、少女に刺されてから、

一週間ほど後のことだった。

「大丈夫、痛みます」

鹿島病院は戦傷者で満床で、

無自戒は何とか謎の女の紹介で

治療にありつけたというわけだった。

「大丈夫ですよ、こんなの掠り傷です,アイタたた」

「アハハ、わたしは実葉霞、国文学者、実葉竜也の実の

妹です」

「ボクは無自戒正午。フリーライターです」


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