第10話

無自戒は街に出た。

戦後の焦土と化した街へ。

そこは何もかもが様変わりしていた。

「おじちゃん、チョコレートちょうだい」

無自戒が街を見まわしながら歩いていると、

一人の少女に袖を掴まれ

声を掛けられた。

「ねえ、おじちゃん」

「ゴメンね、お嬢ちゃん、チョコレートは

あげられないよ」

「どうして」

「ううん、弱ったな」

「じゃあ、おじちゃんの命でもいいよ」

「えっ」

少女が懐から短刀を取り出して

無自戒の腹に突き立てた。



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