第8話

「久しぶりの娑婆の空気はどうだ

無自戒」

洞窟から外に出た無自戒と一刀斎は

眩いばかりの日の光を

全身に受けて新鮮な気持ちになった。

「ああ、最高だ。この上ない御馳走

のようだ」

無自戒がそう感想を述べると

一刀斎がクスリと笑った。

「何がオカシイ」

「いや、オマエさんにも笑うという感情

があったのかと思ってね」

「ほっとけ」

その時、妖怪が一匹、対面から顔を

出した。

「オレは婚儀というもんだ」

妖怪はそう名乗って、構えを見せた。

「やるか」

無自戒がそうつぶやくと、

「違うんだ、オレは知らせに来たんだ」

「何を」

「オマエの命を狙ってるやつがいるんだ」

「知ってる、もう、一匹片づけてきた」

「実葉竜也っていう人間に気をつけろ」

「たかが、人間」

一刀斎がそう言うと、

「違うんだ、こいつはただの人間じゃない。

宇宙を支配している怪物なんだ」

婚儀が何かを畏怖するような目をした。

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