第13話 時間停止の習得
「とりあえず、世界全体を停止するのは必要無さそうだから範囲内の生物に作用する時間停止を教えていこっかな」
「はい」
「作用する対象が意識のみに絞られる分魔力の消費は抑えられるんだけど、その対象を絞るっていう操作がちょっと難しいんだよね」
「対象を絞ることに失敗したらどうなるんですか?」
「魔法が不発になる」
「暴発して世界に作用してしまうわけではないんですね」
「その心配はしなくていいよ」
「それじゃ、ロリちゃんを実験台にしてやってみよっか」
「私!?」
「死んだりしませんよね」
「止めるだけだから絶対大丈夫」
ある程度魔方陣などに関する説明を受けた。
ここからは実践あるのみだ。
「がんばれー」
少し離れた所からオリビアさんが応援している。
これは時間停止は範囲内へ無差別に作用するからだろう。
「じゃあ、いくよ」
「うん」
『発動:時間魔法 時間停止』
魔法を使った直後、目の前のレイチェルが文字通り時間が止まった様に動かなくなった。
レイチェルは止まっているが、着ている服が風になびいて少し動いている。
しっかりと意識だけが停止している。
これは、成功してる?
オリビアさんが魔法の発動が完了した事を確認してこちらへ走ってきた。
「どう? できてる?」
「多分できてます」
オリビアさんがレイチェルの服をつまんで動かす。
「ほんとに意識だけが止まってるね。成功してるよ」
「ならもう解除してもいいですか?」
「うん、いいよ」
魔法を解除した瞬間、レイチェルが何事も無かったかのように動き始めた。
「あれ、オリビア様が瞬間移動してる」
「うん、しっかり意識止まってたみたいだね」
「私、意識を止められてたんですね」
意識が停止していたため、止まっていた時の記憶は残っていないようだ。
「もう1回だけやってみてほしいな」
「なぜですか?」
「今のがたまたまできたってだけかもしれないし、この魔法を使う感覚を忘れないようにね」
「私、また止められるの?」
「ごめんね。後でいっぱい甘やかすから許してね」
『発動:時間魔法 時間停止』
「今度はどうですか?」
「うん、しっかり意識だけが停止してるね」
「これは……時間停止を習得したということでいいですよね?」
「うん、その認識でいいと思うよ」
「ならもう魔法は解除しますね」
「さっすがノエル、もう時間停止も覚えちゃっ
た。生物の意識だけを止めるのはそこまで難しくないけど範囲を思い通りに絞るのは凄く難しいからね。凄いよ」
「ありがとうございます」
「お姉ちゃんならエルドラドもすぐに越えられそうだね」
「どうだろうね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます