第12話 これからの目標
「でもこの剣、対魔物では全く使えなさそうですね」
「殺傷力って言葉を具現化したくらいヤバい武器だよね」
「この剣の一撃を耐えられる魔物って少なそうだもんね。お姉ちゃんはその剣気に入ったの?」
「うん、凄く気に入った。あの武器商人の見る目は間違ってなかったみたいだね」
「流石プロって感じだよね」
「そういえば、これからは何か他の目標が欲しいですね」
「他の目標?」
「今の目標である全魔物の使役と人間との和解はあまりにも遠すぎる目標だと思うんですよ」
「100年以内には終わらなさそうかもね」
「何かもう少し小さな目標を持つと普段の活動にもハリが出ると思うんですよね」
「もう少し小さな目標ねぇ……」
「……エルドラド」
「ん? ロリちゃん何か言った?」
「現時点で最強の魔族、エルドラドを倒すというのは?」
「おー、いいねそれ」
「エルドラド? 誰ですか?」
「エルドラドっていうのはね、今生きている魔族の中で最強って言われてるんだよ」
「それは今レイチェルが言ってましたよ」
「おっと。……まあ前の魔王が生きていた頃でも幹部の中で最強だったね」
「そこまで魔王軍の事を知っているということは、オリビアさんも魔王軍の魔族だったんですか?」
「うん、幹部の一人だったよ」
「後からどんどんオリビアさんの過去が明らかになっていきますね」
「別に話すほどのことでもないしね」
「勇者一行と戦ったんですか?」
「逃げた」
「オリビア様はその時冷静な判断を取ったから今生きているんですね」
「魔王を倒した勇者一行と戦うのは自殺行為ですからね」
「私1人居たところでどうすることもできないしね。最終的にノエルには勇者一行を1人で倒せるように頑張って貰いたいかな」
「それが叶うことは多分無いんでしょうね……」
「ノエルの努力次第だよね~」
「ここでちょっと実践訓練とかしてみませんか?」
「いいよ」
「また負けちゃいましたね」
「でもノエルは前よりも絶対強くなってる。良い成長速度だね」
『発動:時間魔法 遡行』
自分の体の時間を巻き戻し、傷と身に纏っている服を修復する。
自然属性の魔法では体しか治せないが、時間魔法ならば体と同時に服まで直すことが出来る。
毎回服を変える必要が無く、とても便利だ。
「ノエルの魔力は全く減ってないね」
「お姉ちゃんの魔力は無限にあるの?」
「無限ではないだろうけど、そう簡単には無くならないと思う」
「まだまだ魔力も残ってるし、そろそろ時間魔法の最上位魔法をノエルに伝授しちゃおうかな」
「はい、お願いします」
「時間魔法の最上位魔法は『時間停止』だよ」
「普通の停止と何が違うんですか?」
「普通の停止は対象1つを停止させるだけだけど、時間停止はこの世界に流れる時間そのものを停止させるんだよ」
「私以外の全てが?」
「ただ、物の動きまで止めると自分まで動けなくなっちゃうから、生物の意識だけに作用するようにするのが大事かな」
「でも、そんなことしたら世界中で混乱が起こるんじゃ……」
「うん、そうだよ」
「じゃあ使えないですよね」
「別にいいでしょちょっとくらい、呼吸とかは無意識下で行われてるから人は死なないよ」
「でも、重いもの持ってる人とか、浴槽を覗き込んでる人とか、漏れなく被害受けますよね」
「なら範囲を押さえて使う方法教えよっか?」
「ぜひお願いします」
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