第10話 休憩
「ちょっと帰ったら試しに使ってみようよ」
「それ、ロリちゃんが見たいだけでしょ」
「オリビア様は見たくないんですか?」
「もちろん見たいよ」
「私の意見はどうなるんですかっ」
「でも、ノエルも内心ちょっと使ってみたいって思ってるんでしょ?」
「そうだよね? お姉ちゃん」
「……」
2人はこんなに笑顔なのに圧力を感じるのは私の性格故なのだろうか。
いや、違う。
2人が絶対に見たいーーー! っていう圧力をかけてきているのだ。
できれば帰ったらちょっと休憩したいのだけど……。
そういえば、アストリア王国には魔物を回収しに来たのに、結局剣だけ持って帰ることになった。
まあ、疲れてるし、今日くらいはサボっても許されるよね
魔族は長生きだし。
仮に寿命が短くても時間魔法で体の時間を戻せば永遠の時を生きられる。
タイムリミットといえば、より強くなった魔物が人類を滅ぼしてしまうことくらいだ。
そうなったら私1人の力ではどうすることもできない。
でもそれはまだ何千年も先の話だ。
気にする事でもないだろう。
「よし、この辺りなら人目にもつかないね」
『発動:空間魔法 転移』
3人で家まで帰ってきた。
「私、疲れました」
「魔力残ってるし体の時間戻せば良いじゃん」
「……」
「お姉ちゃん、休みたがってますよ」
「そう?」
「共感力は時の流れについてこられなかったんですね」
「いずれロリちゃんもそうなるよ。時間の流れっていうのはそういうものだから」
「よく分かりません」
「まだ14歳だもんね」
「とにかく、お姉ちゃんを少しだけでいいので休ませてください。時間魔法で体の疲労は消せても、心の疲労はどうにもならないんですから」
「そうだね。私が悪かった」
「じゃあ私、ちょっと寝てきますね」
「私が抱き枕になる」
「レイチェルは起きてるんだから悪いよ」
「なら私も一緒に寝る」
「優しい妹が居てくれて私は嬉しいよ」
「……私も一緒に寝たいし」
「ん? なにか言った?」
「何でも」
「まだ昼だから1時間くらい寝れば十分かな」
私の横で寝ているレイチェルを抱き締めて目を閉じる。
「おやすみ」
「おやすみ、お姉ちゃん」
「もう1時間経ったよー」
私たちが寝始めてから1時間後、オリビアさんが起こしに来てくれた。
「おはようございます」
「ロリちゃんも起きてー」
「……zzz」
「このまましばらく寝かせておきましょうか」
「確かにそれ良いね。寝顔可愛いし」
オリビアさんがレイチェルの頬を人差し指でつんつんとつつきながら私の提案に乗ってきた。
「ロリちゃんが起きたら、さっきの剣、見せてもらおうかな」
「はい」
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