第8話 魔物狩りの寄り道

 昨日は新しく強い魔物を手に入れた。弱い魔物くらいなら吸収して自分の力の一部としてくれるだろう。


 「お姉ちゃん、今日はどこに行くの?」

「そうだなあ、オリビアさんはどこかここがいいかもって場所ありませんか?」

「うーんそうだなあ、アストリア帝国とかどうかな」

「そこに何かあるんですか?」

「最近魔物がよく確認されてるって言われてるし行ってみてもいいかなって」

「いいですね、今すぐ行きましょう」

「でも人間の国だから魔族だってバレないように帽子かぶっていこうね」



『発動:空間魔法 テレポート』





 アストリア帝国につく。

「都会ですね」

「バルバニアよりはね」


 私とオリビアさんは帽子をかぶり、レイチェルにはパーカーを着せてフードを被せておいた。


 「この国に魔物がいるんですか? すごく平和そうに見えますけど」

「この辺りはね、とりあえずこの国を歩き回ってみよっか」


 「あそこの武器屋、行ってみたいです······」

「ロリちゃんは刃物好きだからね」

「ちょっとだけだよ」


 3人で武器屋に入る。

「こんにちは」

中にはたくさんの武器と、40歳ほどに見えるおじさんが1人いた。


 「いらっしゃい、何の用だい」

口調からしておじさんは優しい人のようだ。

「偶然見つけたから来ただけ。まあ武器も欲しいけどね」

「オリビアさんは何の武器使うんですか?」

「私は使わないよ、ノエルが使う武器だよ」

「私が武器を?」

「流石にずっと武器なしだと苦戦する相手も出てくるだろうし」

「それもそうですね」


 「お前ら、魔族だろ」

「え?」


 突然バレたことに驚きが隠せない。

「私たちが……どうして魔族だと?」

「勘だ」

「まさかそんな、私たちが」

「そうだよ」

「ちょっとオリビアさん!?」

「この人殺す? お姉ちゃん」


 ナイフを構え、戦闘態勢に入るレイチェル。

「そう焦るな。別に俺はお前たちを通報するわけじゃない」

「ロリちゃんは血の気多すぎ」

「今のは戦う流れでしたよね!?」

「まだまだ子供だね」

「……むう」


 「それで、どんな武器を探してるんだ?」

「ノエルはどんな武器がいい?」

「えっ、突然そんなこと聞かれても……」

「嬢ちゃん、武器使ったことねえのか」

「はい……」

「なら俺は剣を勧める」

「剣ですか?」

「剣は癖が無く、戦闘初心者でも扱いやすい」

「流石武器商人って感じだね」

オリビアさんが流石武器商人だと思ったのは剣を勧めたことではなく、私が戦闘初心者であることを見抜いたところなのだろう。


 「たくさん剣が並んでますけど、おすすめとかあるんですか?」

「嬢ちゃんの戦闘を見ないとそれは分からん」

「私の戦闘を?」

「俺と一戦交えないか」

「えっ!?」

「置いてある好きな武器を使え」

「これ売り物ですよね!?」

「構わん。求める者に最適な武器を見つけ、それを売る。それが俺の仕事だ」


 あまり高い武器を使って壊してしまえば取り返しがつかない。

ここは一般的な見た目の剣を選ぼう。

「これにします」

「外へ出ろ。早速やるぞ」









 

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