第6話 森に住む魔族
『発動:時間魔法 遡行』
私の体をタイミングを指定して常にそのタイミングへと巻き戻し続ける。
一撃で即死しない限りは無敵だ。
『多重発動:光属性魔法 ライトニングレイ』
大量の光線が放たれる。
何本かの光線を避けきれず体を貫かれる。
しかし威力が低い、相手の魔力量はそこまでのようだ。
すぐに遡行によって体が巻き戻る。
おそらくまた幻覚を見せて不意打ちを狙うつもりだろう。
『発動:光属性魔法 光魔迷彩』
いつ攻撃されてもいいように全神経を集中させる。
左腕の二の腕に痛みが走る。
腕を貫通して心臓を貫くつもりか。
だったら心臓にナイフが刺さる前にこっちから一撃入れる。
『発動:火属性最上位魔法 インフェルノ』
「おりゃああ!」
今度こそクリーンヒットした。
敵が吹き飛ばされ木に激突する。
気絶しているようだ。
やった、勝った。
「オリビアさん!」
『発動:時間魔法 遡行』
オリビアさんの体を巻き戻し、傷を治す。
「ありがとね、助かったよ。ところでさっき襲ってきたやつはどうしたの?」
「気絶させました。向こうで倒れてます」
「その子も持って帰ろっか。色々聞きたいし」
そこに倒れていたのは少女だった。
この森は暗く、戦いに夢中だったため気づかなかった。
「子供?」
「そうかもね、でももしかしたら見た目子供でも中身1000歳越えてるかもね」
家に戻ってきた。
脳みそフル回転で戦ったからとても疲れた。
「とりあえずここで寝かせとくね。目覚めたら色々話きいてみよっか」
「う……うぅ」
謎の少女が目を覚ます。
「ここはどこですか?」
「私の家だよ」
「あなたたちは誰ですか?」
「私はノエル、16歳」
「私はオリビア、1322歳だよ、君は?」
「……レイチェル……です」
「レイチェルか、いい名前だね。よしよし」
オリビアさんが少女……レイチェルの頭を撫でる。
少し頬が赤くなっている。
「あそこの森はあなたの縄張りだったの?」
「私の家族の縄張りでした」
「君の家族は?」
「全員人間に殺されました」
「わかった、これ以上は詮索しないでおくよ」
この子も家族を失ってるんだ……
今見るとこの子、可愛い顔してる。
角の生えかたも私と似ている。
「あなたは何歳なの?」
「……14歳です」
私より年下の魔族だ。
「オリビアさん、魔族の世界は実力主義なんですよね」
「うん、そうだけどそれがどうかしたの?」
「じゃあレイチェルに勝った私はレイチェルに命令できるんですか?」
「いいんじゃない?」
「……え……私何されるんですか?」
「これからレイチェルには私の義理の妹になってもらう。私には敬語使わなくていいし私のことはお姉ちゃんって呼んで」
「え?」
「あはは、面白い命令だね」
「私の命令に従えないなら今この場で殺してもいいんだよ」
さすがに殺すは言い過ぎたか。
ちょっと可愛そうだ。
「何でも言うこと聞くから命だけは助けてくださいノエ……お姉ちゃん……」
「敬語もやめて」
「は……うん」
「よろしい」
レイチェルの頭を撫でる。
少し口角が緩んでいる。
頭撫でられるの好きなんだ、可愛い。
「そういえばオリビアさん、寝るところどうしますか?」
「私が床で寝ます」
「いや、姉妹は一緒に寝るべきだよ。ベッドもう1つ買ってくるから。それに14歳の子供を床で寝かせるわけにもいかないでしょ」
その後夜まで会話し、仲良くなった。
夜、オリビアさんは今までのベッドで、私とレイチェルが新しいベッドで寝ることになった。
「お姉ちゃん、私の手握って」
「甘えん坊だね」
「元々は一人っ子だったから甘えられる姉ができたのが嬉しい。前は両親に甘えてたから」
レイチェルの手を握る。
「おやすみ、お姉ちゃん」
「おやすみ、私の可愛い妹」
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