新たな双子
第25話 「どうかしたか?」
「それじゃあ今日もおしまいだyo! 気をつけて帰れyo!」
相変わらず謎テンションの三羽先生がそういうと、クラスメイトたちは一斉に教室の出入り口に向かって歩き出した。
その流れに身を任せるように、俺も教室の出入り口へと歩き始める。
梅雨も明け少しずつ気温が高くなり、過ごしづらいと思うほどの暑さの日も増えてきた。
しかし、逆に過ごしやすいと思うようにもなっているのは俺の周りの人間関係が少しずつ形成されてきたからである。
相変わらず侑志と椎那の周りには信じられないほど多くの生徒が集まっており、それと比較してしまうと悲しくはなるんだが……。
しかし俺は今の人間関係に満足しており、今の関係がずっと続けばいいのに、なんて考えてしまっている。
せっかく手に入れたこの関係を手放したくないと思うのは自然な流れだろう。
……いや待てよ? 今の関係をずっと続けるだけでいいのか?
今の人間関係を続けていくのも相当難しいことなのは理解しているし『今の関係をずっと続けるだけ』だなんて言い方は贅沢なのかもしれない。
しかし、それ以上を、それより先を望むべきなのではないだろうか。
友達になれたのなら、次は親友になれば関係はさらに強固なものになる。
それに停滞は衰退と同義なんて言葉を聞いたりもする。
それならば安定を求めて停滞するより、リスクを冒してでも先に進んだ方がいいはずだ。
まあ新那とだけは双子同士分かり合える部分が多く、一井や橘よりも深い関係になっていると思うが、それよりも先へ関係を深めたいと思っている。
友達の次は親友に、親友の次は恋人に--って今俺何考えた⁉︎ 新那と恋人⁉︎
俺が新那と恋人になるなんて烏滸がましい話だし、俺のほうが恋人になりたいと願っても新名のほうはそうは思わないだろう。
というかそんなことを考えてしまうだなんて、俺は新那と恋人になりたいのか? 新那のことが好きなのか?
いや、そんなことはないと思うが……。
そんなことを考えながら昇降口までやってきた俺は靴に履き替え、校舎を出た。
「ねえねえどうしよ
「大丈夫だよ心配しないで
校舎を出たところで、二人の女の子が慌ただしい様子を見せている。
俺の耳に聞こえてきた会話から察するに、何か物を無くしてしまったのだろう。
ここでこの二人に絡んでしまうと一緒に無くした物を探してくれなんて面倒な話になりそうなので、声をかけず目も合わせずこのまま帰るか……。
「どうかしたか?」
最初は関わらないでおこうと考えた俺だが、俺がスマホを隠した犯人扱いされたときに、救いの手を差し伸べてくれた新那や博司に影響され、俺は声をかけていた。
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いつも私の小説をご覧いただきありがとうございマァス‼︎
昨日投稿が間に合わなかったので、本日二話分投稿予定です!
本日二話目もよろしくお願いしマァス‼︎
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