第30話 多めの昼飯と相談
一紗の突然?の訪問があってから…。
「私も作るから、待っていてくれシュン。」
一紗はそういって外に飛び出して行った。
…俺、三食も食べるのか?…いや作ってもらうからには食べるけどさ。
「ぐぬぬ、あんなダークホースがいたなんて…。」
「もう一品作るべきかしら…。」
星奈さんと美里が、顔をしかめて何かぶつぶつ言ってる。
何を喋っているのだろうか…?
「買ってきたぞ駿作。すぐ作るからな!」
「お、おう…。」
一紗がものの5分くらいで帰ってきて、速攻台所に入っていく。
正直だいぶお腹いっぱいだが、食べられないことはないので、一紗の料理を待つことにする。
すると、
「駿作くん~?」
美里がやけにニコニコしながら
「…なんだ?美里。」
なにを企んでるんだ…?
「このプリン、買ってきたんだけど食べない?」
「え?」
この状況で買ってきたプリンか…。
「あ!美里さんまさか!」
星奈さんが反応する。何が分かったんだろう。
「ふふ…、悪いけど、あんなダークホースがいると分かったら、真っ向勝負なんてできないから…。」
美里は美里でさっきから何を言っているんだ??
「美里さんだめです!たとえ一紗さんが私たちにとってなかなかに強敵なダークホースでも、同じ気持ちを持つもの同士、きちんと勝負しないと!」
「ハッ…!せ、星奈ちゃん…。そうね…危なかった…。」
美里がプリンを自分のデスクに置く。
「…さあ待ちましょう。彼女の料理を。」
「駿作さん。ちゃんと食べてあげてくださいね!」
「え…?うん…。」
何が何だかさっぱりわからないが、とりあえずうなずいておこう。
「できたぞシュン。」
20分くらいして、一紗が皿をもって戻ってきた。
「さあ、食べてくれ。」
俺の前に置かれたのは。ペペロンチーノだった。
しかも少なめの。
「少し量が少ない気がするけど…。」
俺が一紗にそう聞いてみると、
「ああ、おそらく星奈さんと美里さんの食事はもう食べたのだろう?だから少なめに作ったんだ。」
「そ、そうか…、ありがとう。」
やっぱそういうことか、ありがたく頂こう。
「「なっ?!」」
星奈さんと美里が驚いたかと思うと、
「まさか、そんな気遣いまで…。」
「に、人間として負けたわ…。」
二人して肩を落とした。
なんなんだ…?
ま、まあ…、いただくとするか。
フォークでパスタを巻いて口に運ぶ。
「んん?!」
「ど、どうしたシュン?!」
俺が驚いた声をあげてまずいと思われたのかもしれない。
「いや、ごめんごめん。すごく美味しいよこれ。」
「ほ、本当か…!」
一紗の作ったペペロンチーノは、ほどよい唐辛子の辛さとニンニクとオリーブの香りのきいたパスタが本当にうまかった。
「私も食べていいですか…?」
「私も…」
星奈さんと美里が聞いてくる。
「一紗がいいならいいけど。」
「ああ、私は構わないぞ。
それならいいか。
「「いただきます。」」
二人もペペロンチーノを口に運ぶ。
「ん!」
「んん!」
「「美味しい!」」
二人は顔を合わせる。
「よかった。簡単に作ってしまったが、気に入っていただけたみたいだな。」
よかった、なんか空気がピリピリしてたけど、三人とも落ち着いたみたいだ。
「こうなってくると、星奈ちゃんの料理も食べてみたいわね。」
「私も美里さんの料理食べたいです!」
「私にもぜひ食べさせてほしい。」
三人は笑いながら話す。
よかったよかった。
「おーい、もう昼休憩はとっくに終わってんだからさっさと仕事再開してくれや。」
「あ、ごめん!」
そういえばすっかり天摩と仕事をほったらかしていたな。
俺たちは急いで皿を片付ける。
「じゃあ私は講義にいってきますね!」
「はーい。」
星奈さんは大学に行き、残った一紗とはこれから仕事の相談だ。
「では、商談に入らせていただきます。」
一紗は仕事モードの入って、俺たちに敬語で話し始める。
「ご存じの通り、私の父が統括する『氷浦グループ』から派生いたしまして、私が代表を務めることとなった『ヒウラメーカー』が誕生しました。」
「初耳です。」
俺はつい即答してしまう。なんでそんな大きなことを話してくれなかったんだ…!
「ええ…?あ、そうか、シュンには話していなかったか、すまん…。」
どうやら忘れていたらしい、てか一紗さん、いつもの調子に戻ってますよ。
「ごほん、失礼いたしました。それで、今回私の会社から新たにグッズを作ることになりまして、そのグッズに中に、『オームロ工房』様のライバーさん方のグッズを作るお話をご提案に参りました。」
うん、それは事前に聞いていた話だな。
だけど、それって一紗の会社に利益のあることなのか?
「つかぬことをお聞きしますが、このご提案はそちらに利益はあるのでしょうか?」
俺はそれが気になったから、聞いてみることにした。
「ええ、今すぐに作りはじめるというわけではございません。そちらのライバーさん方は実力があるとお聞きしたので、きっとすぐ人気なるであろうという期待を込めてのご提案です。すごいライバーさんのもとにはファンは集まりますし、そうすればグッズも手に取っていただけるでしょうしね。」
一紗、俺たちの会社に、ライバーさんたちに期待をしてくれてるのは素直にうれしいな。
「ありがとうございます。」
その後、数十分ほど会議が続いた。
一紗が思っていた以上にライバーやネット配信に詳しくて、心強い仲間ができたなぁと改めて思った。
この関係は大事にしないとな。
というか、始業初日からあの『氷浦グループ』と取引ができるなんて、天摩にもあらためて感謝しないとな。
こうして、商談の会議は最後まで明るい空気のまま終わった。
その夜、俺は星奈さんに電話する。
「こんばんは駿作さん、どうしたんですか?」
「こんばんは星奈さん、実はお話したいことがあって。」
「なんですか?」
俺は星奈さんに、一紗とのグッズの話をする。
「…わ、わた、私が、グッズになっちゃうんですか?!」
思った通りのいいリアクションが返ってきた。
「はい、一紗は星奈さんは人気になるって言ってましたよ。」
「そっかぁ…、うれしいです!ありがとうございます!」
こうして俺は、星奈さんと楽しく談笑して、電話を終えた。
こんにちは作者です。
先日はお騒がせいたしました!思っていたよりもだいぶだいぶ早く、忙しい環境が終わりましたので、投稿再開です!
一日しか休んでないじゃん!と思われたかもしれませんが、正直私も驚いています。まさかこんなに早く戻ってこられるなんて…。
ということで、一日だけでしたがご協力ありがとうございました!
引き続き「ニトライ」をよろしくお願いいたします。
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