新人社員と美少女と美女?!

第26話 オームロ工房の初日




時間は朝八時。会社は九時スタートだが一時間も早く来てしまった。


「張り切りすぎたかな…。」


…いや、初日から気持ちよく始めるために、仕事を速めに始めればいい、


そうだな、そうすればいい。


「ん~。」


俺は少し背伸びをする。



「よぉし。」


俺の新しい会社のスタートだ…!


俺は『オームロ工房』の入り口のドアを開く。




「おう、駿作か。おはよう。」


天摩が席に座ってパソコンの電源を入れていた。



「おはよう天摩。」


「ああ?!そこは、おはようございますだろ大室社長だろ?!俺は社長だぞ!」


な、なんだ急に?!


「え?!あ、ごめ、す、すみませんでした…?」


「くっ、ははっ…、すまんすまん冗談だよ。」


「はぁ…?」


こ、こいつぅ……。



朝から天摩の冗談に振り回された。




…ふふふっ

やられたらやり返すなんとやらというやつだ…。



「はぁ、まったく、こんな奴が社長なんて、先が思いやられるな、いっそのこと会社辞めよっかなぁ…。」


「え、そ、そんなに嫌だったか…?すまん、本当にごめんよ…。」




「なんてなぁ~」



「ええ?ああっ!やりやがったな!」


「はははっ」



ふふふっ、お返しだぞ天摩よ。









さて、会社スタートまでにやることを終えるぞ。


まずはパソコンの電源を入れて、不具合がないかの確認。

もちろん、配信用の個室のパソコンもだ。



次に、先にやる仕事内容をまとめる。


今回は会社始動!ということで、小さめから中くらいの仕事をいくつかもらってきた。

これはもちろん天摩のツテ、こいつの人脈の広さは本当に計り知れない。


さて、どんな内容があるのか見ておくか…。


資料を開く。



・ササラ商店街放送局の宣伝広告


・クリーニング屋のサイト設立の手助け


氷浦ひうらグループ『ヒウラメーカー』の新商品考案




…ん?


氷浦グループ……



「あぁ…!」


「うおっ、どうしたよ、急に大声出して。」


「あ、ああ、ごめんよ。」


俺の声に天摩が驚く。


いや、今はそれどころじゃなくてだ…。


氷浦って、もしかしなくても氷浦一紗ひうらかずさの会社だな…。


氷浦一紗というのは、俺の高校時代の同級生で、数少ない俺の友人だ。



「なぁ、この『ヒウラメーカー』ってさ、」


「ん?ああ、実はここの社長さんと偶然知り合ってな、今回うちに仕事…というかグッズを作る話を持ち掛けてくれたんだよ。」


「グッズ…?」


なんだ?うちの会社と何か関係が…?


「おいおい、俺たちは新しく『ライバー課』を作ったんだぜ?そこの配信者たちのグッズを作ってくれるって言う提案だよ。」


「…あああ!!」


なにそれ!てことは星奈さんとか、今後提携してくれる予定のライバーさんとかのグッズが作られるってことか!絶対買います!はいはい!


あ、


「というかさ、こういっちゃなんだけど、俺たちまだまだ無名なのに、グッズを作ったところで売れるのか…?」


「おいおいおいおい!何が弱気になってんだよ!月城さんは絶対人気になるってお前が思ったんだろ?だったらすぐ人気になるんじゃないのか?俺も最近の配信を見たけど、あの人はトークもおもしろいし、ゲームも超うまいし、何より可愛い!」


「お、おお…。」


流石天摩、自分の会社なだけあって本気だな…。


そうか、そうだよな。

俺はこの会社の『ライバー課』課長だ!皆を人気者にするために、一緒に頑張ろうと決めたんだ!


「そ、そうだよな、ごめん。俺頑張るよ!」


「おうおう!その意気だ!頼んだぜ課長!」


バシッ


天摩が割と強めに俺の肩を叩く。


ふふふっ


「そっちもな!」


バシッ


俺は天摩にやられたのより少し強めに叩く。


「いっ…たくないもんな!はははっ!」


ドッ!


痛っ?!

声に出さずに痛がる。こいつなかなか本気で叩いたな…いや、グーで殴ってきたぞ俺の肩を。


これが肩パンか…?


「なにするんだよぉ」


ドッ!






バンッ!



「うわっ!」


「おぅ?!」


俺たちがふざけあっていると、会社のドアが勢いよく開けられた。



「あっ」


そこに立っていたのは…佐畑さんだった。


「…朝っぱらからなにやってるの…?」


佐畑さんはあきれているようだ。



「い、いやぁ…、すんません。」


天摩は頭を掻く。




「…。」



すると佐畑さんは俺の方にまっすぐに歩いてきた。


「え、ちょ…。」


そのまま、佐畑さんは何も言わずに俺に抱き着く。


「え?!さ、佐畑さん…?」



「…ほほぉん」


な、何事なんだ…??


というか天摩、なんだそのすべてを把握したような顔は。



そのまま佐畑さんはしばらく抱き着いたままだった。


「あ、あの、佐畑さん…?」


「もう!急にいなくなるんだから!心配したでしょ!」


「え、あ、ああっ…」


そういえば、何も言わずに会社を辞めたこと、まだ謝ってなかったな…。


「そうだな…、ええと、改めてごめんなさい。いろいろ心配かけました。」


「うん、もういいよ。電話でなんとなくわかってたけど元気そうでよかった。」


佐畑さんは俺から離れる。


「ごめんね…、急に抱き着いちゃって。」


「あ、ああ、いいよ…全然。」


きっといろいろ思うところもあるだろう…。

天摩曰くものすごく心配していたらしいし。


報連相はちゃんとしよう!


「ガタッ」


そんなことを考えていると、入り口の方で音がした。




「あ、ああぁ…。」


そこに、星奈さんが立っていた。なんか焦ってる…?



「か、会社で、何やってるんですか…?!」


あ、



めっちゃ抱き着いてましたもんねー!!






さて、どう説明したものか…。







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