第22話 星奈の気持ち
俺は星奈さんと一連の会話をした後、星奈さんに断って外で電話をしている。
「あ、もしもし大室?」
「おう、黒井か、どうした?」
「大室に一つ聞いておきたいことがあってさ。」
「ん?」
「今さらだけど、本当にライバー課なんて作って大丈夫だったか?」
大室には割と無理を言った気がするから、決まった後とはいえもう一度改めて聞いてみた。
「ああ、全然気にすんなよ、もう承諾しちゃったし。それに、俺が宝くじでいくら当てたと思ってんだ。」
よかった、大室ならそう言ってくれるよな。
というか、
「え?企業に必要なくらいだから、せいぜい300万とかだろ?」
結構な額とは聞いていたからそれくらいだとは思うけど。
「実はな、…2000万だ。」
「どぅえ?!」
マジかよ。10年は余裕で暮らせるな…。
「これだけ金はあるし、半分は起業に使おうと思ってな。だから遠慮すんなよ。」
「大室…すごいな。」
「ははっ、まぁな。」
大室、俺や星奈さんのためにお金を使うなんて。
俺の周りにはいい人ばかりだな。
「すみません、お待たせしました。」
大室との電話を終えて、星奈さんの部屋に戻る。
「大丈夫ですよ。同僚さんとの電話は済みましたか?」
「はいおかげさまで。あいつ、星奈さんのサポートを全力でやってくれそうです。」
「本当ですか!同僚さんに感謝ですね…!」
「そうですね、本当にいいやつです。」
また出会った時に紹介しよう…。
ちなみに今日の昼ごはんは星奈さんと食べる。どうやら星奈さんは昨日会わなかった間に少し自分で練習をしたらしい。
楽しみだ。
「午後からは大学の講義なので、早めのお昼ご飯ですが、大丈夫ですか?」
「全然大丈夫ですよ。」
…あ、
そういえば星奈さん…、全然聞いてなかったけど大学との両立になるけど大丈夫かな…。
「星奈さん、聞き忘れてたんですけど、ライバーの仕事と大学の両立ってできそうですか?」
「ああ、そのことなら安心してください!こう見えて成績はいい方なので。今まで通り午前中に配信したり、夜遅い時間にやることもできます!」
流石星奈さんだ。
「さぁ、今回は私が一人で作るので、駿作さんはソファにでも座って待っていてください!」
「そうさせてもらいます。」
星奈さんの料理を待つことにした。
さて、待っている間ゲームでもしますかね。
俺は昨日の夜から再開した、スマホゲームをやる。
俺がやっているのは『パジース』というゲーム。
ボードゲーム、カードゲームの電子版だが、これも『ブイゲー』と同じで、いろんなボードゲームやカードゲームが入ってる。
これもネットで、サーバーにつないでやるゲームだ。
フリーで開かれているパーティーに参加して、オンライン対戦ができる。
「お、平日の昼間でも人がいるなぁ。」
働いてた時は昼間にやる暇なんてなかったからな、少し新鮮だ。
今回やるのは「四人対戦リバーシ」。これはその名の通り、本来二人対戦用のリバーシが四人でできるやつだ。
「よし、パーティは入れたな。」
さっそく対戦開始だ。
~月城星奈視点~
「うわぁ、そこ取られるかぁ…。」
駿作さんが、何やらスマホゲームを始めた。何をやってるのかとで聞いてみよう。
私はその間に料理を作っていく。
今日作るものはオムライス!駿作さんに食べてもらうために、昨日二回練習した。
一回目は味が薄かったけど、二回目はちゃんと美味しかったし大丈夫なはず…!
まずはケチャップライスから。
お米は、朝昼ごはんで食べるために炊いたお米が残っていたから、これを使えば大丈夫。
まずはケチャップライスに入れる、ピーマン、ニンジン、鶏肉を切っていく。
全部細かくサイの目切りにする。
そうそう、お肉は最後に切るか、後で具材を切るときは一回包丁を洗わないとといけないらしい。生肉を食べるとお腹を壊しちゃうしね。
昨日学んだことを気をつけながら料理していく。
「駿作さんに食べてもらうために美味しく作らないと!」
包丁は切らないように気を付けながらしっかり切っていく。
「よし、切れた。」
あとは軽く味をつけるために、塩コショウとみりんで味付けして、油を流した炒める。
ジューといい音と、いい匂いがする。
これ匂いでバレないかな…?
「うわぁ負けた。」
駿作さんの悔しがる声がする。
よしよし、何を作ってるいるかはバレてなさそう。
その後、炒め終わった野菜を置いておいて、お米に取り掛かる。
お米にケチャップを豪快に入れて、そのまま混ぜ合わせる。
全体的に赤くなったから、野菜と一緒に大きめのボウルに入れてさらに混ぜる。
ケチャップライスの完成。
ここまでできたらあと少し。
ケチャップライスを置いておいて、フライパンに卵を落とす。
スクランブルエッグにならないように均等に伸ばす。
前はぐしゃぐしゃのこげこげになっちゃったから気をつけないと…。
慎重に伸ばしていく。
「あ、いい感じ…!」
だし巻き玉子はここからまく必要があって大変にけど、オムライスは伸ばしたら終わりだからまだ簡単なほうだ。
お、お!
「やった、綺麗にできた…!」
あとはこれを、お皿に移したケチャップライスの上に乗せる。
うん、大きさもちょうどいい!!
あとはケチャップをオムライスの上にかければ完成だ。
……。
ハート、描いちゃおうかな…
いやいやいやいや!!待って!そんなことしたら駿作さんに告白してるも同然じゃん!待つんだ星奈!早まっちゃダメ!
危ない危ない…。
それに駿作さんに告白したところで、駿作さんが私のことを好きじゃなかったら、多分私ショック死する自信がある。
好きになった理由が助けてくれたから、なんてベタすぎるよね…。そのためにはもっともっと駿作さんのことを知らないの!
…さて、ハートがダメなら何を描こうか…。
うーん、「しゅんさく」って描いてみようかな。
ダメダメダメダメ!!それも変に思われちゃう!!!
…もう普通にかけよう…。
私こんなんだからヘタレなのかなぁ。
こんなんじゃ思いなんて全く伝わらないよね…。
でもね駿作さん、好きな男じゃなきゃ家にはあげませんから!
そんなことをひとりで考えて、悶えながらケチャップをかけていく。
できた。
うん、美味しいって言って貰えたらそれで良い。
「駿作さん!できましたよ!」
私は駿作さんに声をかける。
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