第4話 堕落者になる
「ん……もう朝か……。」
窓から刺す光が明るかった。
時計を見ると朝7時、3年間の社会人生活で染み付いた週間で、勝手に目が覚めた。
「……昨日、酷かったな……。」
昨夜、仕事のことを考えただけで吐きそうに……いや、実際に吐いちゃったんだったな。あまり考えたくはなかったけど、やはり気になって家のPCで少し調べた。
どうやら俺は、仕事に対してストレスが蓄積して、適応障害みたいな状態になっているみたいだ……。自分じゃ気づかなかったが、今改めてはっきりした。俺は仕事に対して相当なストレスを抱えていたらしい。
ただただ部長へ反発するだけでは、そのストレスは吐ききれなかったってことだ。
でも今まではギリギリ耐えれてたんだろうな、昨日のクビがショックで一気に自分の中でストレスが爆発したのかなぁ……。
…………。
「おい黒井!!」
「またお前か!」
「お前はミスばかりだなァ!」
「クビで。もう会社来なくていいよ。」
「うっ……?!」
思い出しただけで、吐き気と寒気が全身を襲った。そして、ズキッと頭痛がする。
はぁ……。
ダルい……何もしたくない……。
「あ、でも会社行かなくていいもんな、もう…。じゃあいいや。」
俺はベッドに潜り込んで、二度寝することにした。
「あ、布団暖か……。」
自分の体温で温まった布団は、少し気持ちが良かった。二度寝ってこういうのが最高なんだよな……。つい学生時代を思い出す。
あ、眠気が……。
スゥ…。
「ん……。」
気づけば、朝10時半。
久々によく寝たからか、目の疲れはない。
だが、体調がちょっと悪かった。昨日からずっと体のだるさと残る頭痛でキツイ。全然風邪ひかなかったから、こういう症状にあんま慣れてないんだよなぁ…。
とりあえず腹が減ったので体を起こす。
「あーダル……。」
キツイ。キツイキツイ。
「腹が減ってるのに……飯を作りたくない……」
なんだこれ……なんなんだこれ……、こんな感覚初めてだ。
「…出前やってみるか……。」
今までは、食事の栄養バランスとかにうるさい母親に影響されて、どれだけ忙しい日でも自炊して食べていた。多分それもあって3年間は健康に過ごせていたんだと思う。
でも今は無理だ……。作り気力がまるで起きない。だから出前を頼む。それ以外思いつかないしな……。
少しフラッとしながら、椅子に座り、スリープ状態のPCを起動して検索サイトを開く。
そして、出前のサイトを開いて食べたいものを探す。……ほぼ初見だけど色々あるな。
……唐揚げ弁当。美味そう。朝だから、あまり油っこいものは嫌だけど、肉とかは食べたいよな……。魚弁当やエビフライ弁当なんかもある。
結果、ホッケ魚の弁当にした。
30分くらいで来るらしい。意外と早いな。
その間何をするか……。
俺は、つぶやきサイトの『しゃべったらー』を開いた。
この時間にやろうと考えたのは、いわゆるネットサーフィンだ。3年ぶりにこういうのやるけど、やっぱり面白そうなもので溢れてる。
とりあえずやってるゲームのプレイ映像の切り抜きとか、新キャラ新武器の実装なんかの情報を流すようにみていく。
ピンポーン
「あ、来たか。」
あっという間に時計は11時過ぎ。ネットは恐ろしい。時間を忘れてしまう。時間的に早めの昼ごはんでもおかしくないな。弁当は朝昼飯としようか。
弁当を取りに玄関に向かった。
「こんにちはー、お弁当お届けに参りましたー。」
見慣れた弁当屋のマークが入った、赤いポロシャツを着ている配達員さんから、弁当を受け取って料金を渡した。
「ありがとうございましたー。」
ドアを閉めて、机に座って弁当を確認する。…うん。うまそうなホッケ弁当だ。透明のプラスチックのふたが湯気で真っ白になっているから、熱々のまま食べられそうだ。
台所から箸を持ってきて、食べ始めた。
…やっぱうまいな。安くてうまいからこの弁当屋は好きなんだけど、数年前に食べた時と変わらない美味しさだ。
うまいうまいと箸を進めてあっという間に平らげてしまう。弁当を食べたら少し元気が出てきた。今のうちに洗濯と掃除を終わらせてしまおうか…。
そう思って昨日洗えなかった分の服も含めて洗濯機に入れ、洗剤もろもろを入れて洗濯機を動かし始めたのだが、
「…気持ち悪い。」
頭痛がひどくなってきて、足早にソファにもたれかかった。
「うー。」
何もしたくない…。
何でこんなに気持ち悪いんだ…?これもストレスのせいか…?
…病院行きたいけどめんどくさいなぁ…。
…ニートってこうやってなっていくのか?
いや、家から出ないからヒキニートだわ。
そう思いつつ、俺はソファに横になった。
あ、スマホ修理に出してない…!
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