第4話
私は引き出しに無造作に仕舞ってあった宝石を取り出す。
宝石といっても、既にその輝きは色あせており、そこら辺の石ころと大差ない価値となりはててしまっている。
「出来損ないのお姉さまにはお似合いの宝石だわ!!!」
といいながら妹のルビーが、私に譲るといって私の部屋に捨てていった宝石たち。
この宝石たちにも輝いていた時があったのにね……
輝いていた時に戻ったりしないかしら……
……と願ったその時。
手に持っていた宝石が急に光り出した。
宝石から発せられていた光が収まったときには、先ほどまでそこにあった色あせた宝石は存在しなかった。
かつてあったであろう紅い輝きを取り戻した宝石が、そこにはあった。
「何を『操った』のかしら……」
宝石の時間なのか、破損状態なのか……
何を操ったのかまではわからなかったけど、私の魔法の『操る』というのは、ただ『浮かせる』だけじゃないということに気付けただけでも収穫じゃないかしら。
私は調理場に夕食が盛られていた器を戻しにいった。
使用人たちは私の部屋に料理は持ってくるくせに、誰も下げにこようとはしないのよね。
仕方ないから自分で調理場まで持ってくるのが、私の日常。
調理場は見事にもぬけの殻だった。
使用人が誰もいなかったら自分で器を洗わないといけない。
最近は、私が来るまでに他の洗い物を済ませてるんじゃないかというくらいには、調理場で使用人と会わない。
寒さが厳しくなってきた今、洗い物するのは嫌だなぁ……
「魔法で何とかならないかしら……」
例えば、器と汚れとの間に薄い膜を張るようなイメージで魔法を使って……水を流すと……
……あら?
器の汚れが水を流しただけで綺麗に落ちてしまったわ。
「結構いろいろな使い方がありそうね……」
私は新たな魔法の使い方を考える好奇心を抑えられずにいた。
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