第175話 あの時の?
「おおっっ!!」
「この野郎っっ!!」
「殺せぇぇ!!」
「うがぁぁっっ!!」
「死ねぇぇっっっ!!!」
激しい戦いが始まっていた。
連合軍は吉川元春率いる毛利軍一万弱と、島津歳久が率いる島津軍五千が見事な連携を見せていた。
対する徳川軍は本田忠勝が一万二千の兵でもってこれに当たっていた。
兵の数は、この戦に関しては連合軍が上回っていたが、本陣の兵力は徳川一万五千。
連合軍は八千五百程となっていた。
つまりもし、この初戦で連合軍が敗れれば、後はただ捻り潰されるのを待つのみとなってしまうのである。
そんな大事な戦の相手が本田忠勝。
昨日の戦いで、その強さは嫌という程思い知らされていた。
数でも上回っている上、吉川元春や島津歳久をもってしても徐々に押され始める連合軍……。
「やはりこ奴らの強さは尋常ではないっ!!」
「まだ耐えるんじゃっ!!もっと中央へ引き付けるっ!!」
「分かって居りまするっ!やられてたまるかっ!」
必死の戦いを繰り広げる連合軍。
先手を打ち、徳川軍の陣地を押し込んでいた連合軍は時間が経つにつれ、自陣へと押され始め、本田忠勝の本陣が戦場の中央へと差し掛かった。
その時だった。
大きな太鼓の音が打ち鳴らされる。
独特のリズムで討たれる太鼓の音に、連合軍が素早く反応する。
ついさっき迄、徳川軍と刃を交えていた連合軍の兵は一斉に左右に散っていった。まるで戦場から一目散に逃げだす逃亡兵の様に……。
だがよく見れば、その姿は決して逃亡兵のそれではなかった。
明らかに何か明確な意図をもって整然と行動をしているのだ。
何かある!
本田忠勝がそう思った時には既に、この連合軍の策は最終段階に入っていた。
「どぉぉんんっっ!!」
あたりに轟音が響いた。
大筒だった。
「何じゃとっっ!!」
本田忠勝が初めて慌てた様子を見せる。
「何故大筒がっっ!?」
「弾は切れておった筈ではないのかっ!?」
二週間程前の伊達砦陥落の日。
軍議での出来事……。
徳川との決戦に備えて話を進めていた連合軍だが、盛山の家臣からまさかの報告がもたらされたのだった。
◇◇◇
「盛山様、よろしいでしょうか?」
「ん?如何した?」
「そのまま申せ。」
最初は盛山だけに耳打ちをする予定だった家臣だが、盛山のこの言葉に従い緒将に聞こえる様に言葉を発した。
「××××××××××××××××××××………。」
あの内容……。
「砦の奥の倉庫より大筒の弾を発見致しました………。」
その弾が本田忠勝の軍を直撃したのだった。
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