第13話  阿波への進軍

岡豊城の朝は早かった。

小鳥のさえずりが心地よく聞こえ、遠くに朝日が昇り始めていた。


カシャカシャと音を立て180cmのスラっとしたイケメンが屋敷の庭に向かって、

大広間の縁側に立った。

そしてまずは静かに語り始めた。



「みんな……、土佐の統一は成った。


いよいよだ、これより四国をとりにゆくっ!!


みんなの協力が必要だ、俺に命を預けて欲しい」


もうそこには、かつて姫若子と言われた弱々しい元親は居なかった。


庭に終結した大勢の重臣や、それぞれの部隊長らは全員、長宗我部元親の……

いや、翼の言葉をしっかりと飲み込んでいた。


みんなと目を合わせ終わった翼が一気に叫んだ。


「みんな行くぞ!阿波に向けて」


「出陣ぃぃん!!!!」




一同が咆哮する。


「おおおおおおおぉぉぉ!!!!!!!」




翼は盛山、藍と共に城門を出る。

兵たちは士気高く馬を駆る。

翼は振り返り、岡豊城を見つめる。

「この地を守るため、また一戦。」彼は心に誓う。




道中、事前に阿波に放っていた間者からの報告を聞き、更に新しい指示を出す。

これを繰り返しながら、まずは岩倉城を目指した。



翼は盛山や藍と戦略について議論する。

「岩倉城は堅固だが、血を流さずに済ませる方法はないか?」

翼の問いに、盛山は

「やはり調略と見せかけた攻撃が有効かもしれません」と答える。

藍は

「三好氏も無駄な抵抗は望まぬでしょう」と静かに付け加える。



すでに岩倉城の三好氏が納める地域の有力者はほとんど寝返っていた。





岩倉城に到着すると、翼たちは即座に軍議を開始する。城の周囲を固めつつ、交渉の道を探る戦略が練られる。

「我々の真意を彼らに伝えよう。」

翼の決意が部下たちにも伝わる。


翼の軍は岩倉城を包囲し、交渉を開始する。


交渉の結果、岩倉城は無血開城となり、三好氏は降伏を決断する。

三好氏は、翼の軍勢の規模と決意に圧倒され、もはや抵抗する余地がないと悟ったのだった。



城門が開き、三好康俊が降伏の意を示す。


翼は彼に対し、寛大な態度を取る。

「我々の目的は平和のため。共に四国を守りましょう。」


これで阿波攻略の礎が出来た。


と、ここでつばさは考えを巡らせていた。

(このタイミングで信長から書状が届くはずだよな…)


そう、当時の長宗我部元親を混乱させ、そして激怒させた信長の書状…。


「土佐以外を返上せよ」という命令。


必死の思いで戦を重ね、勝利し勝ち取った地を。そして一度は「四国切り取り自由」のお墨付きを出したにも関わらずあっさりと反故にしたのだ。


当時の元親の怒りや思いは計り知れない……。


しかし、翼ははその歴史を知っているのだ。


その書状が来て、みんながが狼狽しようが、あの大事件が「本能寺」で起きれば、信長は居なくなりその間に、四国を統一するのだ。それが史実!


そしてこれが歴史を知る翼の絶対的な力だった。






「殿ぉぉ!」



「京よりの急書にございます!!」


そしてその書状が届いた!















…………が!!!!!!!!!!!!!!!!


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