第14話 京の変奏
京都の本能寺は、穏やかな春の日差しを浴びていた。
茶会は平穏に進んでいるように見えたが、空気には緊張が漂っていた。
織田信長は静かに茶を啜りながら、周囲の顔色を伺う。
「今日は良き日だな」と彼は笑顔で言うが、その眼差しは鋭い。
明智光秀と羽柴秀吉は、隣で緊張しながら応じる。
「左様でございますな、信長様」と秀吉が答える。
茶会が進む中
「ふわぁぁあ」
信長は大あくびをし
「あまりの心地よさに眠とうなったわ。ちと部屋にて休ませてもらう」
と言い残し、部屋を後にする。
これを見た光秀と秀吉は、目配せを交わし、信長の後を追う。
「お部屋までお送りさせていただきます」
「うむ」
廊下を歩きながら、秀吉が光秀に囁く。
「今だ、計画通りに進もう」。光秀は「全てはこの一瞬にかかっている」と応じる。
しかし、直後彼らは罠にはまることを悟る。
信長が部屋に入った刹那、部屋の扉は突然閉ざされ、武装した兵に取り囲まれたのだ!
一瞬、混乱状態になる二人……。
「うつけ者どもが……、禿ネズミ!きんかんあたま!」と信長の声が部屋より響く。
信長は部屋から現れ
「謀反を企てるとはな。我が計略には及ばん」と言い、二人を感情のない目で見下ろした。光秀と秀吉は無念の表情を浮かべながら、捕縛される。
「一体なぜ感づかれた……!」光秀は歯ぎしりをしながら逡巡した。
「ふ…、わしを誰だと思うておる」
そして信長は光秀の耳元に近づき他の誰にも聞こえないようにしばらく囁いた。
「××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××」
その囁きを、しばらくは力なく聞いていた光秀だったが、途中より目を見開き顔が青ざめていくのを秀吉は見つめるしかなかった。
囁き終わると信長は、冷静に部下たちを見渡し
「裏切り者にはこれが相応だ。忠誠を誓う者達よ、これが我々の正義だ」と宣言する。
彼の言葉に、部下たちの表情は堅く、忠誠を新たにする。
信長の目は遠くを見据え、彼は思索にふける。
「これもまた是非もなしか……」とつぶやく。
彼の野望はまだ果てしなく広がっていた。
そしてその日の内に光秀と秀吉は処刑され、本能寺の茶会は信長の勝利で幕を閉じる。
しかし、これはただの終わりではなく、新たな物語の始まりを告げる瞬間だった。
信長の策略と勝利は、彼の周囲の者たちにとっても重要な転機となる。
光秀と秀吉の死は、信長に対する忠誠をさらに強固なものとし、彼の権力を不動のものにする。しかし同時に、信長の冷徹な策略は、彼の支配下にある者たちの間にも不安と疑念を生み出す種となる。
信長はこの出来事を通じて、さらにその影響力を拡大し、日本統一への道を着実に進めていく。だが、彼の野望と冷酷さは、やがて新たな脅威を生むことにもなるのだった。
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