変わる歴史

第11話  夜の謀議

月がぼんやりと照らす夜、豊臣秀吉は静かに草履を脱ぎ、一軒の茶屋へと足を踏み入れた。


茶屋の奥、薄暗い部屋で、明智光秀が待っていた。

緊張が空気を包み込む中、秀吉は光秀に向かって深々と頭を下げた。



秀吉は低い声で話し始めた。

「光秀殿、時は来た。信長の暴政は天下を乱し、我々の立場も危うい。我々がこの国を救うのだ。」


光秀は静かに聞き、一つの言葉も漏らさなかった。


「秀吉殿、あなたの言う通り、信長のやり方には問題が多い。だが、これは危険な賭けだ。」

光秀は慎重な口調で応じた。しかし、秀吉の目には燃えるような決意が宿っていた。



「我々の行動は天下のため、民のためだ。信長に逆らうことは、正義の行いだ。」

秀吉は光秀の目をじっと見つめ、その意志の強さを示した。



光秀は一瞬の沈黙の後、

「分かった、秀吉殿。私もこの国の未来を憂えている。しかし、我々の計画は緻密でなければならない。」

と同意を示した。



二人はその夜、織田信長打倒のための具体的な計画を練り始めた。

策略、兵力の動員、同盟者の確保など、細かい部分まで議論が交わされた。


秀吉は光秀に向かって言った。

「まず、我々の直属の兵を極秘に動員し、信長が予期せぬ場所で奇襲をかけるべきだ。特に、信長の居城近辺に潜伏させ、不意を突く。」


光秀は頷きながら付け加えた。

「秀吉殿の言う通り、しかし、我々の動きが目立たぬよう、分散して行動し、定期的に情報を交換する必要がある。」



秀吉は続けて、同盟者についての計画を提案した。

「信長に不満を持つ大名や寺社、町人たちも多い。彼らを密かに味方につけ、内部からの支援を得ることが重要だ。」


光秀は承知し

「各地の大名たちとの連絡網を強化し、信長の動向に敏感に反応できるようにしよう。信長に反感を持つ寺社との連携も視野に入れるべきだ。」と答えた。



「さらに、信長の情報源を遮断し、誤情報を流して混乱を招くことも大切だ。」と秀吉は言った。


光秀は、「間者を配置し、信長側の情報を把握しつつ、わざと誤った情報を流すことで、彼の判断を誤らせる。」

と補足した。



二人はこの策略に最終的な同意を示し、それぞれの役割を確認した。


秀吉は兵力の動員と同盟者の確保を、光秀は情報戦と策略の練り込みを担当することとなった。



この深夜の密談は、日本史の大きな転換点となる重要な出来事であり、

後世に「夜の謀議」として伝えられることになる。


二人の合意のもと、新たな歴史の幕が静かに開かれていた。



夜が更けていく中、二人は固い握手を交わし、秘密の盟約を結んだ。



秀吉と光秀は茶屋を後にし、夜の闇に消えていった。

彼らの背後には、新たな歴史の扉が静かに開かれようとしていた。


そして翼も、この歴史の大きな力に翻弄されるのであった。

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