第4話  新たな力

城内には朝霧がただよい、戦の前の静けさが支配していた。

翼は大広間に家臣たちを集め、今日の戦に臨む戦略会議を開いていた。


「みんな、よく聞いてくれ。今日の戦はただの力比べではない。俺が思いついた作戦を聞いてくれ。」

翼は机の上に細かく描かれた地図を広げ、それを指でなぞりながら話し始めた。


家臣たちは目を輝かせながら、翼の話に耳を傾ける。

彼は現代の知識を駆使して、敵を欺くための偽の陣を敷く計画を立てていた。


「ここに見せかけの兵を配置し、敵の注意を引きつける。本当の攻撃は、こちらから...」

翼は地図上の山の裏側を指さした。


「面白いですな。しかし、それが本当に機能すると確信がおありなのですか?」盛山が疑問を投げかけた。


「ああ、今までの戦では考えられなかった策だ。だが、俺たちは新しい時代の戦をするんだ。この戦略が功を奏すれば、敵は大混乱に陥る。」


「では、私たちはどのように動けば良いのでしょうか?」若い家臣が尋ねる。


「信号に注意するんだ。俺がある合図を送ったら、すぐに山から奇襲をかける。」

翼は自信に満ちた声で言った。


戦いの準備が整い、翼は城壁に立って遠くの敵を眺める。その時だった、彼の目が突如金色に輝き始めた。


世界がスローモーションのように感じられ、敵の動きを予測できるようになる。



「これは...前世で遊んだビデオゲームの感覚か?」

彼は自分の新たな力に驚嘆し、武者震いがした。


 (いける!)



戦が始まると、翼はその超感覚を駆使して、家臣たちを巧みに指揮した。


合図は三度の鷹の鳴き声だった。


一声目で家臣たちは偽の兵を進め、敵を惑わせる。

二声目で本隊が静かに移動を開始し、

三声目で山からの奇襲を開始した。


戦場では翼自らが剣を取り、その美しさと速さで敵を次々と倒していく。

彼の動きは、まるで戦いを踊るかのようだった。


「さあ、行くぞ!」翼が叫ぶと、家臣たちは一斉に突撃を開始。

敵は完全に油断し、翼たちの予想通りに動いた。


二時間ほど経っただろうか。


想像していたよりも圧倒的な勝利だった。

味方の損害はごくわずか。対して敵方は総崩れし大勢の戦死者を出していた。

再起を図る事も難しいのではないだろうか。



戦いの後、家臣たちは翼を囲み、その英知と勇気に敬意を表した。


「若殿の考えた戦略は見事でした。これからも我々は若殿についていく!」

盛山が宣言し、家臣団全員が鬨の声をあげた。


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


もう誰も翼を姫若子などと口にするものなどいない。


心から我が主君を信頼し、敬愛するようになっていた。

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