ウミガメの道
@inugamiden
ウミガメの道
国道42号線が、
永久をよそおう、本質の失われたプラスチックの青を、私は恨んだ。
快晴のエッセンスを溶かしこんだような、太平洋の青が、
この
そのころの母の姿は、夜と溶けあう水平線を思わせるかすかな記憶のなかで、
私は、階段をくだって、日本最長とされる
高らかな雲の
神と仏を区別なくたたえまつる
私は、見えざる母の手で、みちびかれるまま、渚の前へゆき、ふと、立ちどまった。浜の石が、山と谷をつくりながらとうとう、いっぽんの道をえがいてゆく。私は、それが、ウミガメの産卵の道であることを悟った。夜――、そう、私の母の記憶と同じく、かすかな水平線のかなたから、一頭のウミガメが、この浜を這って、卵を産みおとしにきたのだった。まるで、あの信心の海からあらわれる、熊野の古道だった。私は、そのウミガメの、生命の
ウミガメの道 @inugamiden
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