第4話 めんどくさい両親は放置して、ゴーレムを召喚します。
私がナホドと話をしている時、両親はぎっと眉間にしわを寄せて私へと近づいて来る。
「リリア、だめよ執事なんかと仲良くするなんて……!」
「そうだ、リリア優しすぎてもだめだ。威厳を見せろ!」
全く持って意味が分からない。
(身分違いってやつか?)
もしそうなら正直くだらないし、むしろ自分の首を絞めてどうするんだという思いの方が勝る。
だが私はリリア・シャーケイン。ここは優等生の御令嬢らしく振る舞わねばならない。
「お父様、お母様。それではいけませんわ」
「リリア?」
「皆に対して平等に優しく振る舞ってこそ、シャーケイン家の名も上がるというものですわ。それに日頃から威厳だけでなく感謝と優しさを忘れなければ、いつかは神のご加護が降りてくると私は信じています」
(こ、これでどうだ……?)
キャバクラで培った話術が早速使えるとは思ってもみなかったが、両親の確かにそうかも……というような表情を見る限り、どうやら効いたようである。
「リリアの言う通りだわ」
「さすがはリリア、素晴らしい娘だ」
「有りがたき幸せでございますわ」
と、頭を下げて見せる。これでひとまずは大丈夫だろう。
「では、ナホドさん」
「ナホドで結構です」
「で、ではナホド。洋館の案内お願いします」
「畏まりました」
こうして私は一通り洋館の中を見て回った。少し古くてほこりや汚れが気になる部分はあるが、この程度なら普通に暮らせそうだ。
だが、両親は違うらしい。
「こんな所で暮らすなんて無理よ」
「元の屋敷に戻りたい……」
いやいや、これくらい私からすれば贅沢過ぎる程なんだが?
「お父様、お母様。そんなに不安でしたら私がこの洋館を綺麗にして差し上げますわ」
と、はったり気味に両親へ声をかける。綺麗にすればとりあえずは黙ってくれるだろう。
それにリリアは魔法が使えて、なんならトルドやヒロインよりも魔力は上だ。この程度どうって事は無い筈。
「リリア……」
「なんと……」
そうはいってみたものの、どのように掃除して行こうか。私とナホドとメイド2人だけでは人数的に厳しい。あの某ネズミのアニメのように、箒とかを魔力で動かしてみるか?
(それとも、使い魔召喚するとか?)
とりあえず私は右手を伸ばして、掃除できる使い魔出て来い!と念じてみた。
「……」
「わっ」
すると前方の床に魔法陣のような青白い円状の模様が現れ、そこから2メートル程の大きさのゴーレムが3体、生えて来た。
「……」
ゴーレムはたくさんの灰色の岩を人型にくっつけたような姿。これはゲームでも変わらない姿だ。
「リリアがゴーレムを3体召喚したわ……」
「しかもあのゴーレム、ランクが高いぞ……」
と、話すだけの両親は放置して、私はゴーレムへ指示を出した。
「お願い、この洋館の掃除を手伝ってくれるかしら?」
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