11月23日(木)

 おはようございます。今日は久しぶりに夢を一部覚えています。でもほんの一部だし、「人の夢の話ほど興を惹かぬ話もない」と昔からよく言われておりますので、夢備忘録話はここには書かずにおきます。

 

 さて、一昨日あたりに恒例ブラック・フライデーが方々で開催され、ゲームのセールも方々で盛り上がっているようです。が、自分はまだチェックしておらず、引き続き翻訳と原稿執筆と『なつもん!』やっております。『なつもん!』世界内における限定された時間は、現在よりも四半世紀近く前の2000年8月の1ヶ月(31日間)。できれば2023年内にクリアして私的GOTYに選出したい。感想記事も書きたい。なので、ちょっと前倒し的にやっております。


「行ける場所、知り合う人が少しずつ増えていく(プレイ時間でアンロックされていく)」というのはゲームにおいてお馴染の仕様のひとつですが、このゲームはそこが素晴らしくうまくできています。

 本作のゲームデザインにおけるモデルとなったゲームのひとつがゼルダBotWであることは間違いありませんが(というか、BotW以降に出たOW探索ゲームは何らかの形でほぼBotWの影響から逃れられないはず)、『The Good Life』『Tchia』といったOW探索ゲームと比べて、自由度の制限と物語の広げ方がじつに巧妙に、意識的に行われています。

『The Good Life』の作者Swery氏は吾国を代表するゲームクリエイターの1人ですが、その作品はかなり「異国的」ですし、『Tchia』の方は、プレイすればすぐにその生々しい「異国感(具体的にはニューカレドニア地方感)」に包まれると思うのですが、『なつもん!』はじつに倭人的なゲームです。

 プレイされた方は、どちらかと言えばある時期の『ドラクエ』や『ポケモン』を想起するかもしれません(自分はしました)。でも、本作はドラクエやポケモンのような戦闘や育成要素も、ゼルダBotWのような祠パズルもダンジョン攻略もありません。


 戦闘、パズル、育成のないOWの、どこに「ゲーム的面白さ」を見出せるのか? と問うてみる。すると、現時点では、「観光と探索」という要素が浮かびます(今は「観光」「探索」の2つに分けていますが、これは本質的には1つとも言えるかもしれません。また、『観光の哲学』という現代思想家の著作をここで読み直してみるのも一興かもしれません)


 そこに前提条件を加えると、「期間限定の特別な世界の中に居ること」。すなわち、夏休みに学校に行く必要がなくて、誰かに会う約束もなくて、田舎町と自然を好きなように移動、観光、探索できること。これは現実生活においては、何の愉しみに近いだろう?


 それはやはり「逗留」なのかもしれません。まだ行ったことのない土地で、でもそこには何処か懐かしさがあって、他人との交流も一定の距離感と、期間限定であることによってある種の「優しさ」をともなうような逗留。

 人生において、多くのゲーム好きの大人が忘れてしまっているであろう「少年少女だった頃の夏の日」を題材に、パズルも戦闘もダンジョンもないOW世界を好きなように好きなだけ動き回れるというゲームを、『ぼくのなつやすみ』作者である綾部和氏が作り上げたことは2023年において必然的なことだったのだろうし、自分が今、ゲームに求めている「何か」が確かにある作品だと、プレイしながらひしひし感じています。

 と、褒めちぎっていますが、個人的に気になる点もちょこちょこあります(それについてはまた改めて)。でも、そうした瑣末な欠点を吹き飛ばすくらい、確実に「良いもん」があるゲームのように感じられる『なつもん!』なのでした。


今日もなつもん!話ばかりになってしまいましたが(おまけに何故か終始「ですます」調……)、良い初冬の1日を! ラブムー

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