第25話
翌日、私たちは自分たちの部屋に手紙を置いた人を探すために、寮を管理している管理人の部屋にお邪魔した。
「「おはようございます」」
「お、おはようございます。お嬢様がた、こんな朝早くにどうされたんですか?」
「少し、聞きたいことがありまして、102号室の部屋を掃除している方にお会いしたいのですが、いつ出勤されますか?」
「掃除婦は、朝9時から出勤ですので、…何かありましたか?」
「9時ですと、授業に間に合いませんわね」
「実は、私たちの部屋に手紙がおいてありまして」
「手紙…ですか?」
私の部屋のベッドに手紙がおかれていたこと。
リリーが、部屋に戻った時には、すでに置かれていたこと。
部屋には、鍵がかかっているので、置けるのは、その部屋を掃除した人くらいしか置けないのではないかと、考えていること。
手紙の差出人の名前が書いていないため、その手紙が気味悪いこと。
手紙を置いた人に、誰に手紙を置くように頼まれたか、聞いてほしいこと。
それらを伝えると、不審そうな顔をした管理人が、頷いた。
「はぁ。なるほど。手紙ですか」
「犯人捜しのようで、なんだか申し訳ないのですが、こちらも送り主が不明の手紙をもらっても、あまり気分がよくないものですから。お手数ですが、よろしくお願いします」
「はぁ。分かりました。こういうのは、こちらも信用問題ですから、担当のものには、言っておきます」
「はい。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。それでは、私たちも学校の準備をいたしましょう」
「そうね。お邪魔しました」
廊下を歩いていると、ロミオの婚約者であるレイラに会った。
レイラもこちらに気づいたようで、挨拶をしないわけにもいかない。
互いにおはようと、声をかけた。
「珍しいわね。こんな早くにどうしたの?」
「別に。少し回りを散歩していましたの。今日は、いい天気ですから」
「そう…。ねぇ、最近、ロミオの様子はどう?」
「ロミオ?…別になんとも。彼がどうかして?」
「別にどうということはないけど」
「彼、アリシアに未練がある様子は、ないかしら?」
「リリー…」
「は?なに、どういうことですの?」
「ここじゃあ、誰に聞かれるか分からないから、…ちょっと部屋に来て、お茶しない?」
「…まぁ、いいですけど」
まだ、登校する時間には、余裕がある。
3人とも制服を着ているし、用意は出来ているから、そこまで慌てることもない。
部屋に戻り、お茶を用意し、一息ついてから、さっそく本題にはいった。
「実は、私のベッドにこれがおいてあったの」
そう言って、ベッドに置かれていた差出人不明の手紙を見せた。
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