第20話
「って、なんでついてきてるのよっ!?」
「アリシアの隣がいい」
「困る!」
「どうして?」
「ミア嬢のあの顔を見て」
「・・・ミア。僕、言ったよね?邪魔しないでって」
「アーサー・・・」
「僕の邪魔しないって、約束守れないの?」
「・・・わかったわよ」
「ほら。いいって。だから、一緒に座ろうよ」
ええ・・・。いいの?
ミア嬢は、なんだかふてくされた顔をしている。当たり前だ。大好きな幼馴染みをどこの馬の骨ともわからない女にとられたんだから。
「ごめんなさい?」
「別にいいわよ。アーサーの意思を私が止められるはずないし」
あれ?
なんだかおとなしい。
以前だったら、もっと「は?煽ってんの?それともバカにしてんの?元平民様は、序列をご存じ?教えてあげましょうか?」とか、言ってきたはずなのに。
「これで、一緒に授業を受けられるね」
にっこりと微笑むアーサーは、本当に嬉しそうで、悪意がなさそうに見えた。
◆
面倒なことになったな。
ひっそりとため息をつく。
「あら。ため息をつくと幸せが逃げるそうですわよ?」
「すーすー」
「ふふ、モテる女は、大変ですわね」
「他人事みたいに」
ルドルフには、悪いけど、私は貴族の男と結婚する気は、あまりない。
というか、ルドルフの家に嫁ぐ気がないといった方が、正しいか。
理由は、金銭感覚の違いである。
バカにしてはいけない。
金銭感覚の違いで、別れることになるのは多いらしい。
仮に私が、ルドルフと結婚したとする。
そうしたら、嫌でも上流貴族の生活に慣れてしまうだろう。
生活水準爆上がりの生活に。そうなったら、どうするんだ。
もし、別れることになったとして、その上がった生活水準を下げるのは、苦労するに決まってる。
マナーに知識、それから、交流関係。覚えなくてはいけないことはたくさんあるし、人付き合いも多くなることだろう。
そんなの、絶対しんどいに決まってる。
そう、問題は私なのだ。
私は、どう思っているのかと聞かれたら、正直、悪い気はしない。
だが、私は、ルドルフのために頑張れるだろうか。と真剣に考えてみると、どうだろうという気がしてくる。
こんな中途半端な気持ちで、付き合って、結婚したって、絶対に迷惑がかかる。
なにより失礼ではないか。
「はぁ~~~~~」
「あらあらまぁまぁ」
「リリーは、気楽そうでいいよなぁ~」
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