第18話
「私と会うたびに自己PRしてたってわけ…?」
「そ、そうだよ!しかたないだろっ!一目惚れだったんだからっ!」
「……」
「あらあらまぁまぁ」
…リリー、楽しそうね。
いきなりの大告白に呆然としている私。興奮して、私よりもうれしそうなリリーに、顔が真っ赤なアルセウム。
それを遠目で見ているご令嬢たち…はっ!
「そ、それでは、ご機嫌ようアルセウム助けてくれてどうもありがとうまた学校でねそれじゃあお先に私は失礼しますお礼はのちほど」
「ま、まってくれ」
「ぐっ」
これほど大目立ちした上に目撃者多数では、噂になるのはすぐだろう。だが、これ以上面倒ごとは避けたいのである。
アルセウムの告白に私が混乱していないわけがない。
だから、早く学校に行きたくて、逃げようとしたら、腕を掴まれて、阻止されてしまった。
「へ、返事は?どうなんだ」
「ま、まだ、私、心の整理が…」
「あらあらあら。お顔が真っ赤よぉ」
「もうっリリー!からかわないでよっ」
リリーが楽しんでいるのは、明確である。
私をおもちゃにしないでほしい。
「こんなに慌てているアリシアを見るのは、初めてですから。楽しくて面白くて可愛くて」
「や、やめさなさい。頬を擦り付けるないで!」
「擦り付けるってなんだか、私のほっぺたが汚いみたいではありませんか。すりすりしてると言ってくださいな」
リリーが、自分の頬と私の頬を擦り付けてくる。
可愛い!と言って、よく自分のぬいぐるみに頬を擦り付けているのは、見ていたが、これ癖なのかしら?マーキング?
「アリシア…」
「アルセウム!見てたでしょう!私は、今ロミオとの婚約を破棄されたばかりなの。まだきちんと落ち着いてないの!人が振られたところをかっさらうなど、紳士のやることではありません!」
「振られた?…君、あの男が好きだったのか?」
「い、いたいいたいっ!力ゆるめて…」
「君が振られたのか?…君は、本当は、あの男に片思いしてたのか?」
「ち、違います!あの男に振られたのは、事実です。確かにお金でしか繋がっていない関係でしたが、一応、少しは傷ついているんです」
「あんな男のせいでも?」
「あんな男でも、私にお金がなくなったら、価値がないとほかの女に乗り換えられたのは、ショックなのです。当たり前でしょう。まるで、私にはなんの価値もないと言われたと同じですから」
「君の価値に値段なんてつけられない」
「そ、そう…?でも、そうね。それをあの男に言われたかったのかもしれないわ」
「僕の言葉ではだめなのかい?君の傷を癒せないと?」
「……」
この男、本当に私のことを好きなの?
いったい、どこで好きになったのかしら。
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