10. 眠れない時



 太陽はいつものように昇り、温かい陽光がカーロストに降り注ぎ、反射した光が美しく優雅なラインを描き出す。植物の香りがこの古い都市を満たし、路傍の灯りが徐々に消え始め、太陽の光は元の位置に戻る。路辺の建物の影は徐々に長くなり、その後短くなる。

 

 ある「国家」という名の機械が、この明け方に新しい一日の運転を始める。光は厚いガラスを通り抜け、星極の部屋に降り注ぎ、床に美しい光の弧を反射させる。その太陽の光の下で、果物もより魅力的で美味しく見える。しかし、部屋の中のわずかなほこりも、太陽の光の下でより明確になる。


 広く真っ白のベッドで星極は遅く目を開いた。彼の目の中の星の光は太陽光に負けずに輝き、金色の髪の毛は光を金色に染める。


 小さな鳥は窓側で軽く窓を叩き、好奇心強そうに部屋の中の人形みたいな人を見ていた。その人はベッドから降りて、歯を磨いたあと、着ているパジャマに金色の炎が燃え、日常服に変化する。


 少しの間に窓のところで風景を見てぼうっとしたら、扉が誰かに叩かれた「ドンドンドン」の音がした。扉を開くと、セレナは笑顔が溢れた感じで星極の前で立っていた。


「おはよう御座います。昨夜の睡眠はいかがですか?」


「結構良かった。全く夢を見ていなくてそのまま朝まで寝た。」と、星極は答えた。セレナが笑うときに、目を細める習慣がありそうだ。二人が階段を降りるとき、星極はずっと彼女は道を見えるかと心配していた。もちろん何もなかった。


「星極さんは多くのところに行ったことがありますが?」と、セレナは突然に聞いた。星極はその突然を気にしてなく、優しく答えた。


「あぁ、多いとは言えないが、なくはないな。」


「いいえ...」と、彼女は頭を振り、長い耳は上下に動いた。「それより、予定とかありますか?今日の予定。」


「予定ね~」


 セレナの話しで星極は思った。自分は何をすればいいかはなにも決めていなかった。こうやってダラダラしていくのもありだけど、昨日夜の事を思い出したら、深く掘りたくなってきた。


 経済的に考えたら、住みや食事が保証されていても、一円の金を持たない今は、流石に不便すぎる。


「まぁ、まずはカーロストを回ってみたいな。昨日は大体室内で少しているからな。」と、星極は答えた。確かに、一円もないのは不便だが、食住が一時的に保証されているなら、まだ焦らなくていい。少しカーロストを観察した後、そういうことを考えるのも遅くはない。


 セレナも文句がなく、星極についていくのが仕事らしいから、ついでに彼の案内人にもなれるから、彼女も星極も都合がいい。


 部屋の扉を閉じ、閉めた瞬間で自動にロックされ、出される気圧でセレナの髪は空中で美しい線を描く。


 カーロストの街で歩くと、植物の香りがずっと鼻に入ってくる。地面はセメントに似ている材質でできていて、この世界の特殊な材料が中に混ざっている。建物は白や緑が多めで、工場の中に外と比べたらまるで異世界な機械が見える。


 精霊たちは街中で歩いて、星極の存在で珍しいと感じた人は少なくなはない。何人かが話しかけたいような感じだったが、セレナを見た後すぐに止めた。


 セレナはカーロストの中でかなり地位高そうな精霊だ。


 歩いてみると、太陽光が切断され、涼しく植物の香りが鼻に入ってくる。天に通じる巨大な木が中央にそびえ立っていて、星極が頭を上げると、その巨大な木を無視できなくなる。


 あまりにも大きすぎる。無数の根が地面で混ざり、都市全体で蔓延している。サラサラと動いている葉はそれぞれ重ねて、太陽光を完全に切断した。葉はいつも地面に落ちて来るが、地面と接触したら間もない間に消えていた。


「この木は自然の神が住むところです。」と、セレナは落ちて来る巨大な木の葉を手に持ち、口に入れる。「自然の神は恵みを下し、精霊の生存を保護する。神話の中はこう書かれております。でも、自然の神は実際に存在しています。みてください、その木の頂点に自然の神の権能が宿っています。」


 セレナは指してみた。指している方向に合わせて、星極はその木の頂点を見てみた。


 巨大な木は空に差し込み、一般人は見上げることしかできない。セレナの目の中で、その木はとても神聖で美しく、彼女たちの信仰が含まれている偉大な木だろう。でも、星極は微塵の視線も感じなかった。


 木は根から腐っており、緑豊かな体は灰色となってしんでいる。木の頂点はなんの権能もなく、無限の闇が去らない。


 この闇はどこで見た覚えがある。星極は思い出した。洞窟の中で、天井の方もその闇で何も見えなかった。でも、それは洞窟の中、その巨大な木と同じほど高いところにはいない。この闇を一旦心に残して、調べるときに注意しよう。


 星極は考えを口に出さず、ただその木を見ているだけだった。隣のセレナは星極がその木に衝撃を受けたと思って、何もしなかった。


 次の瞬間に、その闇はまるで星局の視線に気づいたようにすぐに消え、巨大な木の上の部分は幻のように現れだ。


 幻?


「その葉の味はどうだ?」と、星極は疑問を隠して、その木を見ているままでセレナに聞いた。


「はい、とても美味です。レストランの中の主菜よりも!」と、セレナは答えた。彼女を見て、美しい顔から少しだけの嘘もない。そして星極は「なるほど」と呟いて、視線をずらし、落ちてくる葉を一つとった。


 口に入れると、すぐにその葉は口の中で消え、全く味がしなかった。


「もしかして精霊だけしか感じられない?」と、星極がそう思った時に、変な匂いがすると感じた。


「うん?」


 その匂いは美味と全く無関係で、逆に、腐っている感じだった。もう一枚取って見て、口に入れたら、その腐っている臭いが消え、何もしないまま葉は口の中で消えた。


「...きのせいじゃないな。」と、星極は心のなかで呟いた。最初の葉を口に入れた時に、彼は確実に何かが腐っている感じがした。その「何か」は説明しづらいが、星極はそれが「死体が腐っている」と感じていた。


 でも、二枚目だとその感じが消えた。


 誰かが、彼の視線を邪魔しようとしている。


 星極は少しだけ力を使いたかったが、隣のセレナを見て動きを止めた。


『まだ彼女たち、精霊たちへの影響を把握できない。今力を使うと世界の根源を傷つくかもしれないか。まだ早い。』と、彼は思った。


 セレナと少し散歩をして、二人はホテルに戻って朝飯を済ませる。精霊の料理はそんなに人間と変わらなかったが、体が強い関係でより強い刺激が必要なため、食事の味は濃かった。特に辛味や酸っぱさ。


『味がしない...』と、星極は美味しそうなビーフを口に入れても、なんの味もしなかった。でも、味はしないが、その食べ物の中から確実な生命力を感じた。隣のセレナは楽しそうに食べていたから、やはり自分だけに食感や味がしないか。


 味や食感がなくても、一般人、あるいは体が強い人だとしても、この生命力があれば生きていけるはず。生命維持に効くから、星極も文句を言わずに無味を我慢して、セレナの前で星極は普通のように食べていた。


 少し食べてから、こう沈黙していくのはよくないと思い、セレナは積極的に話をかけた。


「星極さんは眠れない時に何をするんですか?」


「眠れない時?」と、星極は少し考えた。フォークを握っている手を置き、彼は笑って答えた。


「ぼうっとして風景を見続けるかな。どうした?失眠?」


「はい、最近はちょっと。夢の関係でいい睡眠がなかなか少ないです。」


「ふん~」と、星極ティッシュを一枚取り、口を拭いてから語った。


「私より、君はライナに聞いたほうがいいじゃない?彼女は結構鍛錬してそうだから、睡眠についていいアドバイスをくれるかもよ。」


「は~」と、セレナはため息をついて、変わった表情で語った。


「それはですね。ライナが眠れない時は大体仕事か、それとも直接に壁に自分が気を失うまでずっと頭を当てるかのどちらですよ。」


「。。。」


 今回星極の表情が変わった。なんだこの体強い精霊美少女!その話は十分に星極の興味を引いたが、セレナが言っていた「夢」の方がより重要かもしれない。


「夢って?」


 星極はセレナの目を見て、軽く語った。星極の目と合わせたセレナは一瞬だけ顔が赤くなり焦ったが、すぐに落ち着いて返事した。


「は、はい。夢です。正確に言うと、未来予知です。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る