9 異端の神

 リーダーが教徒を見回すとき、少しだけ違和感がした。その違和感を確かめるために、彼は「自分の名を言え!」と命令した。下の教徒は変と思ったが、リーダーに逆らわず語った。 


「#H@4%」 


「%$#H@」 


「$#$%%&」 


「星極です。」 


「。。。」 


 時がまるで止まったように、星極以外の人たちは動かなくなった。彼らは星極から目線が離れなく、まるで星極を食い尽くすような目で見ている。 


 やはり、名前に関する情報なら、なぜか騒音になる。星極はリーダーと目を合わせ、笑顔で語った。 


「ありがとう、こんなに面白い情報をくれて。」と、星極のこの精霊の体はより透明になって行く。この体を通して力を使うほど、消える速度が早くなるそうだ。 


「なるほど。」と、星極は教徒のリーダーの変な視線を無視して、一人で呟いた。 


「あらら、もう限界らしい。まぁ、そろそろその馴染み深い気配の主もすぐここに辿りつくから、私がいなくてもいいか。」 


「おい、待て!」と、リーダは体を動かして星極のその消えそうな体を掴もうとした時に、精霊の体は徹底的に消え、元いったところには拳の大きさぐらいの星空の炎しか残されていない。教徒たちの反応を待たず、その炎は一瞬で拡大し、爆裂する。瞬く間で、教徒たちは炎に覆われる。 


 でも、その炎は実際のダメージを与えず、ただ短い間で眩しい光を出し、また前と同じ「何か」を燃やしていた。すぐにその炎が消え、星極がずっと馴染み深いと感じたその気配の主もここにたどり着いた。 


「目標はすぐそこにいる!相手は危険の邪教徒だ!まずは自分の安全を確保しろ!相手を殺しても構わない!」と、飛んできたのはレイラの声と数十人の精霊の足音だった。 


 。。。 


 暗い洞窟の中で、根のない光がゆっくりと周囲に広がり始め、ほのかに見える領域を開けた。 


 暗闇が生まれる場所に常に騎士が剣を抜く。この国の守護者たちは、安全を脅かす可能性のある要素を決して見逃さない。 


 レイラは数十人の小隊を率いて、暗闇の中で完璧に隠れることができる服装で、迅速にこの邪教徒の拠点を破壊した。今回の行動はあまりにも順調で、レイラはこれを「破壊」と呼ぶべきかどうかさえわからなかった。少なくとも彼らが邪教の拠点に到着した時、邪教徒たちはすでにほとんど狂っていた。


 彼らは自分の頭を抱え、聞き取れない言葉を口にしていた。一部の邪教徒は頭で地面を叩き、彼らが何を言っているのかはわからないが、彼らが信じる主が彼らを見捨てたことは確かだった。 


 彼らは異端の力を使ってエルフの小隊から逃れようと何度も試みたが、なぜか彼らの主に連絡が取れず、力を使おうとすると彼らの体に血のような火が燃え上がった。 


 抵抗はもうできないと確認した後、レイラと何人かの精霊は遅く軽く近づいて、特殊な糸で狂っている邪教徒を縛った。任務は順調に行けたが、それでもレイラは不安だ。後ろの精霊たちに手を振って、小隊の精霊はすぐにレイラの近くに来た。 


「イスカ、こいつらの精神状態を確認しろ!」 


「了解!」と、黒髪で「イスカ」と呼ばれる精霊はすぐに邪教徒の周りに行き、手をその邪教徒の頭の上に置き、こうやって何秒か立った後、弱く白い光は手と邪教徒の頭の接触している部分から現れた。 


 彼の精神は暗闇の中に沈み、目を開いたら、彼はもう邪教徒の精神世界の中に立っていた。 


 周りを見回すと、この空間は灰色しかない。彼が踏んでいる地面は実際の地面ではなく、知らない力でできている物だった。 


「これは?」と、イスカは地面の感覚に驚いていながら、心の中の警戒を強めた。一人の精神世界の中には何が入っているかはわからない。


こういう任務をするとき、心配するべきことは相手の精神攻撃だ。相手の精神世界に入った以上、現実での手段は全部使えなくなり、相手のルールの中で行動することしかできない。だから、より精神力が強い人で、相手のルールを書き換えることが必要だ。


でも、イスカがどれだけ警戒しても、邪教信者の精神攻撃は来なかった。


 疑問を隠しながら一歩前へ足を踏み出し、精霊は「地面」で歩き始めた。周りの風景は何もない虚無から徐々に幻のような美しく街となった。中は精霊だけで暮らしていて、パッと見たら幸せそうな街だった。 


「精神攻撃ではなく、これかよ。」と、イスカは眉をひそめた。精神攻撃なら簡単に対策できる。でも幻覚は処理しづらい。それに、その幻覚のどこが本当かどこが偽りかはわからない。いづれ厄介なこととなる。


イスカが対策を考えているとき、彼の眼の前の風景は再び変化し、彼が見慣れている自分の家の入口となった。


自分の記憶に沿って家に入ると、自分の親がそこに立っていた。服装から見れば、この幻覚の中で彼らは何らかの正式な場に出席することとなるでしょう。


考えたら、イスカは思い出した。この幻覚は自分の記憶の一部で、かなり昔、三、四百年前で自分の士官学校卒業式のときのことだった。


その後、彼の親はなくなり、原因不明。


 前に自分の家族がそこに立っており、一歩前へ行けば、彼らに触れる。親に対する遺憾を抱えながら、彼は目の前の幻影を見て、最終的にはゆっくりと首を振っただけだった。でも、ほんとに前へ進もうとした時に、彼は踏み外した。 


「なに?!」と、彼はびっくりした。精神の世界で深いところに落ちちゃったらえげつないことになる。深く行くほど、記憶の中の危険のものは喚起され、最終的に両方共精神崩壊になる可能性がある。 


 彼はすぐに自分を集中させ、自分を元の場所に戻したい時に、彼は誰かに注目されている感じがした。 


「?」 


 その感じを確認するため、精神の「海」の中で、彼は沈みながら、頭を回して、左の方を見た。 


 その瞬間、彼は自分を失った。考えることができない、残っているのは恐怖や本能の生存欲しかない。その物を見た一瞬、理性は地面に落ちた鏡のように割れていき分裂する。今までの鍛錬で強くなったはずの精神力はその物の前でまるで太陽と指先の炎ぐらい差がある。 

 。。。


 イスカが任務を進んでいる際に、現実世界でサポート系の精霊は隣で特殊な設備を太い線でイスカの体と繋いでいる。そして、あのサポート系の精霊はすぐに大きな声でレイラを呼んだ。


「レイラ様!異常です!」


 レイラはそれを聞いて、すぐに駆けつけた。目をサポート系の精霊の指が指している設備のモニターを見ると、元々のイスカの精神安定度を測定、表示する平穏の黒線は急に大きな幅で上下浮動し始めた。


「すぐにこいつを現実に戻せ!」


 。。。


 血管が蔓歩する巨大な目玉はその精霊を静かに見ていた。 


 イスカの目の前で世界が崩壊し、巨大な眼球の主によって紙のように揉みくちゃにされ、底なしの深淵に投げ込まれるかのようだった。その瞬間、彼の理性は崩壊し、直感が無限に敏感になり、絶えず彼に離れることを促していた。本能が狂ったように警告している。 


 その眼球と見つめ合うと、彼は完全に不可思議なものに歪められてしまうだろう。しかし、彼はもはや目を閉じることも、考えることも、さらには本能や直感に反応することもできなかった。彼はその眼球と見つめ合い、残された人間性もその見つめ合いの中で崩壊していった。 


 しかし、その時、彼の眉間で星空のような炎が燃え上がり、次の瞬間には「海」全体を覆い尽くすように爆発した。その星空の炎は通常の炎よりも何倍も輝いていたが、エルフはその炎から焼けるような感覚を受けなかった。むしろ、火の光に照らされると、彼の理性が回復し始めた。巨大な眼球がその炎に触れると、瞬時に火の玉に変わり、狂ったように燃え上がり、苦痛の悲鳴を上げた。 


 そして、彼は強大な浮力を感じた。名もなき存在が彼を救い上げようとしている。彼の意識は浮上し始め、最終的に現実世界へと戻った。 


「おい、大丈夫か?!」 


 その精霊の異常に気づき、レイラはすぐに近づいて様子を確認した。現実に戻ったその精霊は地面に座れ、呼吸するだけで力が尽くしている。彼の目から赤い血が少し溢れ、救援の精霊はすぐに処理し始めた。でも、彼は駆け抜け、レイラの方へ走って自分が見たものを報告した。 


「異端、異端の神はほんとに存在している!」 


  

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