8 邪教


彼の意識は暗闇の中に沈んだ。闇の中で、無数の光点が空間中に浮かび、時には光点が花火のように消え、時には小さな新しい光点が生まれた。「深海」の中の世界を指す光点とは異なり、ここの光点はより小さく、光も弱い。光点はある規則に従って一か所に集まり、一部の光点が分散して他の場所に浮かんでいた。


中心から離れた場所に、一つの消えそうな光点があった。その光点は徐々に弱まり、まるで死にかけている人のようだった。光が完全に消えた後、光点はただの球体となり、星極は手を伸ばして触れると、星空の炎でその球体を再び輝かせた。


「これだ」と、彼は姿を消した。


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洞窟の中で、一人の精霊は倒れている。その精霊の体の3分の1は消えており、頭は右顔や脳を失っている。周りは戦った後が残されており、赤い血が地面に落ち離れているところまで続いている。その赤い血の主がこの精霊の体をここまで破壊しただろう。と、その精霊は思った。


彼はもう左目しか残っていない頭を回して、自分の体を見てみた。傷口のところはきれいに切られたから、血肉はなんの阻害もなく急速に再生する。空気中に燃焼後の匂いと血の匂いが充満しているせいで今は吐く気が強いが、体はまったくうごけないから、ただそこに倒れ、体を回復していた。


回復した頭を傾け、耳を地面につける、そこから遠いところからの水滴の音が聞こえ、足音や鎖が地面で摩擦している音がした。臭ってみると、汚水や腐った肉の匂いが近い距離から飛んできて、体が完全に再生した後、地面に倒れている精霊は手で体を支え、地面から立った。


「これは大怪我だね~」と、その精霊が語った。彼がその血の跡に沿って動こうとした時に、馴染み深い気配が急速に近づいていると感じた。


彼は体を動かして、その時にズボンの袋から何かが太腿に当たった感じがした。袋からその物を取り出すと、それは一枚のカードで、誰かの顔写真と名前、所属が載っていた。


「姓名:$%$%#$」


「所属:第一分区中心警備隊013番」


名前や顔写真が乗っているところはなぜか星空に如く炎が燃え始め、カードを傷つけず、上に乗っている情報だけが燃やされて、別の人の顔写真や名前がかわりに書かれた。


「姓名:星極」と。


その後、彼の顔は徐々に歪み始め、目、耳、鼻は地面に落ちて血水に溶けられ、新しい顔が生まれた。それは、ライナやセレナがどうしても覚えられない星極の顔だった。



カードを元の場所に戻り、星極はこの体になれるため、少しの体を動かしてみた。息を吸ってみたら、彼はこの体の心臓が動いていないと感じた。


「結局死んだのか…」と、星極は頭を振って、この体の状態を確認しながら周りの環境を観察し始めた。体が死んだとしても、死んだばかりだから、まだ体は固まってない。普通の体みたいに動ける。


ここは洞窟の中だ。でも、洞窟だとしても、この広さは異常だ。頭を上げて上を見てみたら、洞窟の天井が見えず、暗闇が視野を占めた。その暗闇はただ光がない影ではなく、物質でもエネルギーでもない別物だった。洞窟の広い空間を支える石の柱もなんの規則もなく、地面の石も変な形をしている。


「うん?」


星極は大雑把に計算しても、その石の柱の強さは決してこの広い空間を支えることができないという結果が出た。そんなに細い石柱で洞窟を支えられる訳がないはず。


「なんで?」と、彼は自分の計算結果を疑い始めた。でも、どう見てもこんなに広い洞窟は一本の普通の石でできている柱で支えられるものではない。


星極は視線をずらし、細く見たら、地面の一部の石も、地面に触れずに、異常な角度で浮かんたり立ったりしていた。まるでこの空間は、ゲーム内のそれほど巧妙ではないアルゴリズムによってランダム生成された空間のようで、非常に混沌としており、物理法則に合致しない。


星極は金色の炎でそのたった一本の石柱を燃やし、まるごと灰にして空中に飛ばされても、支えが消えた洞窟は崩壊せず、なんの影響もないまま存在し続けた。


「これは…」と、星極は呟いていた。石柱を燃やすとき、全く「燃やしている」感じがしなかった。彼が考えている時に、この精霊の体は少しだけ透明になっていた。それに気がついた星極は、より疑問が増えた。


「徐々に消えている?」


星極の記憶内では、死んだ透明になり消えていく精霊はどの世界にも存在しないはず。体は自分の力に耐えられなくなっても、崩壊するか溶けるか二選択になるのが普通だ。そのまま透明となって消えていくことは相当珍しい。もし相手は実体を持たない物であれば、こうやって消えていくのもありだが、星極の感覚内ではこの体は実質存在する肉体だ。


ここでただ疑うだけで何も得られないから、一旦疑問を心の中に隠して、星極は地面の血の跡に沿ってこの精霊の体の元主を襲った人たちを探った。


自分の気配を隠し、見出しなりを整いてから、彼は出発する。


洞窟の中深く進むにつれて、邪魔者は出てこなかったが、周囲の環境は少しずつ変わり始めた。物理法則に反する石や石柱が、不気味な姿で周囲の空間に現れる。石は空中に浮かび、石柱は斜めに立っているものもある。しかし、共通点が一つある。それは、変化がないということだ。


星極が観察すると、これらの石や石柱が実は繰り返されていることに気づいた。しかも、繰り返しには全く規則がない。まるでランダムにコピー&ペーストされたかのように、そんなに混沌としている。風もなく、気温も低くないのに、星極は寒さを感じた。


幸い、彼はそう遠くない洞窟の端に近づいていた。前にはもう道がほとんどなく、彼を襲った人々の会話の声が徐々にはっきりと聞こえ始めた。彼は状況を見て、大きな石柱の後ろに隠れ、密かに自分の感知を広げる。


「A3$!v7^&*Jk9#H@b4%Zx1」


聞こえたのはただの騒音だった。そしてその騒音はできるだけ人の発声器官から出す音を真似していたが、結果は雑乱の音声によってできている叫びに過ぎなかった。


でも、それも短い時間だけで、すぐにその騒音は正常となり、ちゃんとした人が話している声になった。


「邪魔しに来た精霊はどうだ?」


「死んでいます。」


「ならいい、我々の邪魔にはなれない。」


話している人たちは黒い服を着ていた。帽子を被っていたが、特徴から見たら、この人たちは「人間」だった。僅かな星空の炎は彼らの目の中で燃え始め、彼らは全くそれに反応しなかった。


「おっしゃる通りです。」と、星極は語った。


「うん。よし、我々の主はもうすぐでこの国家に気づく。もし成功したら、我々は永遠の楽園に行ける。全ては主のために。」


「全ては主のために。」と、教徒たちは一斉に語った。


「おい、星極!ぼうっとするな!」


「あぁ、全ては主のために。」


星極の話を聞いたあと、リーダーの人は頭を頷いて、周りを見回した。


「もう少し、もう少しだけだ。」


「?」

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