第11話 しゅんちゃんと、継母と演劇
「皆さんは今、人生の岐路に立たされていると思います。進学する人、就職する人。それぞれいますが、それぞれ、そこがゴールではありません。いうならば…。」
説明会は、社長のそれっぽい挨拶から始まって、僕の噛み噛みのスピーチで終わった。(その間、キャプテンと清子は、しゅんちゃんのクラスメイトたちを物色していた。)
説明会が終わり、片付けをしている間、キャプテンと清子は、独断と偏見で狙いを定めた生徒に話を聞きに出た。僕は社長と話したかったので教室に残る。
しばらくして、キャプテンたちと落ち合い、車の中で成果報告をする。
彼らは、しゅんちゃんの友達だという、女子生徒から色々聞き出せたと言う。
しゅんちゃんは演劇部だったが、継母に退部させられた。しかも、それが、演劇大会前夜のことで、残されたチームの発表が上手くず、そのせいもあって、田中からいじめられていたこと。
しゅんちゃんは、本来は穏やかな性格で、いじめられてる時も、「僕は傷が治りやすいから、他の誰かが傷つくよりずっといい」と笑っていたと言う。友達も演劇部を辞めるまではそれなりにいた。
普段、継母はしゅんちゃんにはご飯を一切作らず、しゅんちゃんは残り物をかき集めていたが、怪我をする前の1週間は、残飯を食べることも許されず空腹で精神的にも参っていたと言う。
しゅんちゃんは、学年10位に入る成績で、演劇も1年の時は優秀新人に選ばれたり何でもよくできるのに、「僕なんて全然だよ。もっと頑張らなきゃ、人生お先真っ暗だよ。」と、眉毛をハの字に曲げ、情けなく笑うのが癖だった。
しゅんちゃんは、虐待にいじめと大変な状況にいたことがわかった。キャプテンは、しゅんとし、清子は怒りのあまり鼻の穴が膨らんでいた。
それぞれ思うことがあるようだが、とりあえず、しゅんちゃんは超再生の能力があることが濃厚になった。
「しかし、なんで目玉をえぐるんだろうか?集めているのか、自分がやったって言う証拠を残しているだけなのか…」
清子が疑問を口にした。
確かに、しゅんちゃんが復讐のためなのか、なんなのかは不明である。
「よし!このまま、しゅんちゃん家に行ってみよう!」
考えることを放棄したキャプテンが言う。
そのまま、しゅんちゃんが、今過ごしているの家に行ってみたが、誰も出てこない。翌日行っても誰も出ず、数日間キャプテンが空から張り込みをした。しかし、得られたものは何もなかった。
一方、僕の能力の方では得られるものがあった。しゅんちゃんが、家から出ずに訪れた場所が2ヶ所あった。「高柳」という、大きく古くて立派な家と「IO Tec」という会社だ。この2ヶ所について清子が調べてきてくれた。これらは、しゅんちゃんの継母の父親…、つまりは、血はつながらないがお祖父ちゃんに当たる人の家と、その人が専務を務める会社だとと言う。
しゅんちゃんが次に狙うのは、このお祖父ちゃんではないだろうか。実行される日は、これまでちょうど1週間ごとに犯罪が行われていたので、なんとなく予測できた。しかし、どこで襲われるかがわからない。彼らは、神出鬼没。
でも、僕らには社長がいる。キャプテンが電話をすると、数時間後に事務所にやって来て言う。
「高柳専務に、1日密着の取材のアポ取ったから取材の準備お願いね。」
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