第10話 忘れられた彼女 参戦

 会社説明会の日。目的は違えど、内定者としてしっかりと話さなければいけないので、自分で用意した台本を読み込んでいた。


 ばんっ!突然扉が乱暴に開いた。そこに立っていたのは清子だった。あまりに、彼女の存在を忘れていたので、顎が外れてしまうんじゃないかってぐらい、僕の口は、開いて塞がらなかった。


「ちょっと!超能力者が起こしたかもしれない事件に関わってるでしょ!呼んでって言ったよね?」


 全ての人が清子を忘れていて、少し申し訳ないと思ったが、この態度じゃあ、謝る気にもなれない。


 そこへ、コンビニに行っていたキャプテンが帰ってきて、清子に気づく。彼女がいたのが予想外すぎたのか、「きゃっ!」と可愛く悲鳴をあげた。


「なによ!人を化け物みたいに!!」


 相変わらず喧嘩腰なので、キャプテンも遠慮せず、言い返す。


「き、君が勝手に来ないって宣言したんじゃないか!お、面白い事件が起こったらとか、そんなの僕にはわからないよ!」


 ブチギレ色黒ギャル vs ひきこもりの大型犬の戦いは、前者の圧倒的勝利で終わった。


 しょうがないので、今までの概要をかいつまんで説明した。


「ふぅん。なるほどね。私もこの事件で能力を使ってみたの。全然解決しないから、おかしいなって。私たちみたいな能力者のせいかもって思って来てみたんだよ。案の定だったわ。」


 清子が興味深そうに言った。


 そう言えば、無理やり契約を結ばせるほどの清子の能力は何なんだろうか?僕の顔は、自然と教えてくれよアピールをしていたようで、何も言わなくても、清子は説明してくれた。


「私の力は、言霊。現状、事実ではなくても、それが実現する可能性が1%でもあれば、『〜した。』『〜だった。』みたいに完了系で言霊を込めて言った事が、1週間以内に実現するんだ。」


 今回の件では、「犯人は見つかった」と言霊をこめて力が発動したが、1週間経っても見つからなかった。もし、能力が発動しないなら、犯人はいないので事故ってことになるが、発動したので犯人はいる。


 おまけに、清子の力は、実現するのが難しければ難しいほど、大きな代償を払わさせられる。だが、今回は髪の毛5本が抜けるほどで済んだので、本来は、すぐに見つかるような人物だと予想される。


 そのため、強い能力を持つ協力者がいるんじゃないかと結論に至って、事務所にやってきたという。


「じゃあ、その協力関係にある能力者に会えるように言霊を発動させるのはどう?」


 キャプテンが提案すると、もうすでに実行し、力は発動した。これも、大した代償でなかったので、会うのは難しくない人物に違いないが、全く会った記憶がないので、記憶や精神系、又は、姿を変形できる感じの能力者かもと考えていたそうだ。


特に解決策は見つからないまま、社長がやって来て、清子を見つけると「おもしろいこと見つかったんだね」と笑いかけ、4人で出かけることになった。



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【作者】

私が、清子の存在を忘れていて、思い出したように書いた回です…


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